二度目のオールドガーバー

 

以前に、古いガーバーのナイフ(フランボージュだったかな)を送って頂いたM様から再びガーバーのナイフ四本が届きました。

 

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長いの(緑のアーモハイド)は、フィレナイフですね。デュレンダル?らしいです。黒いアーモハイドはA400、ハンティングナイフですね。銀色の二本はミミングですが、一方は上記二本と同様にハイス鋼(ハイスピードツールスチール)モデル、もう一方はステンレスモデルで違いが有ります。

 

長いのの刃先部分アップ。かなり損耗が見られます。 1545234182304

 

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黒いのは大分マシですね。 1545234226567

 

 

ステンレスミミングも、少々傷んでいます。 1545234196919

 

 

ハイスのミミングには錆も。 1545234205482

 

 

 

 

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M2(ハイス)と云う鋼材は傷が付き易く取れ難いので、今回も事前に手持ちのショーティで試していました。ハイスの耐磨耗性に打ち勝つ研磨力の砥石では新たな傷が付き、傷を付けない柔らかな砥石・砥粒の目の立ち方では、前段階の傷を消せない印象です。現在の手持ち砥石の中で相性的に良かったのが中山の赤ピン(硬口)で、下りに加えて傷消しと切れまでも満足いく物でした。其れで仕上げる計画を立てて、研ぎを開始。

 

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人造の400番で欠けや摩耗を落として行きますが、特に大きな物三つは取れ切る頃には不必要に刃幅が狭く成ります。

 

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同じく400番ですが、全体的には揃って来ました。

 

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緑の1000番で荒仕上げです

 

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同じく緑1000番

 

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白1000番

 

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白3000番

 

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蓮華巣板

 

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同じく蓮華巣板

 

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奥殿の本巣板の白

 

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同じく本巣板の茶色

 

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同上

 

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フィレナイフ特有の、ブレードを骨に当てたまま湾曲させ三枚に卸す方法に適する様、鋭角にはしない研ぎを御所望で。最後には掛かりを強調する為に天井巣板(硬口)で仕上げました。

 

 

 

他のは、やや鋭角気味にとの御意向に沿ってオリジナルよりも僅かに鋭角に。中山の赤ピン三種(やや軟・やや硬・硬口)で。

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左がやや軟、右がやや硬

 

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硬口赤ピンで仕上げ

 

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ミミング(ハイス)も同じ仕上げ

 

 

 

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最後のステンレスミミングですが、小刃を落としてベタにとの御要望で。しかし、刃体の寸法や強度が激変するのは如何な物か、との助言を入れて頂き刃先中心の研ぎで小刃を取る事に。

 

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400⇒緑1000⇒白1000⇒白3000で下地を

 

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中硬の巣板⇒本巣板茶色

 

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此の茶色よりも相性の良かった本巣板白で整え

 

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此れ又、掛かりを優先して天井巣板(硬口)で最終仕上げです。ただ、此のナイフは刃線中央に少し返りが取れない部分が。熱処理ムラか、電動工具の影響でも有ったのでしょうか。サイズと予想される作業内容から、実用上では(使用環境にも因りますが)余り問題は出ないレベルと思われますが。

 

 

 

 

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仕上がりです

 

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フィレナイフの研ぎ上がりと刃先拡大画像です。三つ有る欠けの痕跡の内、最大の物の周辺です。取り切ると全体を無駄に減らす事に成るので、此処までで留めてあります。

 

 

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A400の研ぎ上がりと刃先拡大画像です。

 

 

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ハイスのミミング、研ぎ上がりと刃先拡大画像です。

 

 

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ステンレスミミング、研ぎ上がりと刃先拡大画像です。

 

 

 

西宮のM様には、再度珍しいガーバーのナイフを御送り頂き有難う御座います。メールでも記載しましたが、此の状態で問題無いか御判断頂きたいと思います。もしもOKが出て、御手元に届いた際に問題が有りましたら再調整しますので宜しく御願い致します。

 

 

 

追伸です

御送りしたメールの通り、砥石も参考に御送りします。この前、幾つか用意されていた赤ピンの中の一つです。中硬と硬口の中間で、硬口寄りです。

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序でにもう一つ。奥殿の山裾で、天井巣板を探して居た折りに偶然見つけた本巣板の白のサンプルレベルの一つです。赤ピンの硬口よりは傷を小さくし難いかも知れませんが、代わりに研磨力が上乗せ。切れも十分な良い砥石で、砥ぎ易さでは此方が上です。

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「二度目のオールドガーバー」への3件のフィードバック

  1. M様から、メールにてコメントを頂きましたので転載です。

    村上様

    こんばんは。
     研いでいただきました刃物、昨夜、わくわくしながら開梱。感激しました。
     手触りのみの感想ですが、フィレナイフのデュレンダルが明らかに切れ味が飛び抜けているような感がします。
    他のハイス刃物と、金属組成が違うのでしょうか。白紙や青紙の手触りともまた違う、寒気のするような
    切れ味が感じられます。

     昨夜はハイス、440Cそれぞれのミミングで、肉のブロックを切ってみました。
    角度の関係でしょうか? 440Cの方の切れ味が卓越している感じがしました。
    柳刃包丁的な引き切りではなく押し切りの感じで豚肉ブロックに触れるのに、何の抵抗もなく
    吸い込まれるように切れ進んでいきます。ハイスの方も切れ味は凄いのですが、440Cの方が
    切れ味は凄まじいです。肉に深く入った際に、ミソノのスエディッシュ三徳よりも切れ進みの
    抵抗がない感じです。
     関の尾上さんのご著書にある、「…ピクシーの吸い込まれるような切れ味…」というのが
    やっと実感できました。GERBER使いの先輩たちは、箱出しの状態ではなく研ぎ直しをしていたのだなと
    得心いたしました。

     A400とデュレンダルとは、別のものを切って切れ味を試そうかと思っています。

     砥石のご送付、ありがとうございます。ちょうどバスコウェアスチールのGERBERスポーツマンが
    手元にありますので、これに使って試してみます。この砥石、おいくらぐらいのものなのでしょうか?
    まだ試しておりませんが、所持したいなと、強く思いました。

     ハイス刃物の研ぎはほんとうにたいへんだと思いますが、村上様のおかげで、かつてのクラフトマンの
    誇りを体験することができます。ほんとうにありがとうございます。
     取り急ぎ、御礼と、第一次感想の御連絡まで。メールの内容は、どうぞご自由にご引用ください。

  2. M様

    御世話になっております。無事に到着して安心しました。

    実際に触った感じで、デュレンダルが特に切れる感じがしたのは恐らく、最終仕上げに使った砥石の違いに因ると思われます。他のハイスに比べて、角度的に鈍角方向での御希望を勘案して、少し掛かりが強い(短い距離で滑らず噛み付く)仕様を狙った天井巣板(硬口)仕上げにしました。逆に、他のハイスは滑らかさ重視と言う訳です。慣れれば、余りギコギコ?せずに滑る様に肉や果物を切ってくれるのではと。

    ミミングの違いは其の物ズバリで、刃付けの違いです。刃先の(鋼材由来の)強度と、恐らくは切れ味もハイスが優っていると思われますが、其れを補うのが浅目のハマグリ(ベタに近い)に研いだ刃体と、僅かに角度を起こして仕上げて行く刃先へ向かって鈍角になって行くハマグリ、二種類の混合ハマグリの効果です。結果、刃先の永切れも不満が出ない範囲かと思われます。

    砥石に付いては出元の方から、販売するなら6000円で良いだろうとの事でしたので、其の通りの価格です。砥いで見て、良さそうでしたら砥石代金の方も御振り込み頂ければと思います。其れとは関係なく、白の細い方は記念に持っておいて下さい。私が直接、山から持ち帰った物ですので奥殿のサンプルとして(此の所、改めて天然に触れてみようとする方に試用に配っていたりします)楽しんで頂ければ幸いです。

  3. 追加で砥石の感想を頂きました。御実家の包丁を研ぎ直してから仕上げに二種類の天然を使った所、使い易く良い刃が付いたとの事です。

    ただ、バスコウェアスチールは難しかったそうですので、参考になればと私の標準的な砥石側への扱い方を返信してみました。幾らかでも効果が現れれば良いのですが、兎も角も結果の御報告と砥石の御買い上げを有難う御座いました。

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