珍しい来客

 

二か月ほど前でしたか、小西さんから御話しが有った件で、一昨日の日曜は「きしな屋」の岸菜さんが宮崎さんを伴って御来訪。

宮崎さんは五島列島で「宮崎鍛冶屋」を営む若い鍛冶であり、椿包丁で有名な方。単に民家で内職程度の装備しか無い拙宅では余り面白みも無いとは思ったのですが。

先ずは紅茶と和菓子を用意しながら、挨拶と話すべき内容、質問項目などを打ち合わせ。

 

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次に研ぎ仕事から見える、刃物の仕上がりに反映する鍛冶仕事の精度や完成度、其処を目指す為に必要な工程に付いて等を話し合いました。

宮崎さんの仕事に対する姿勢・研究熱心さは成る程と思わされる物でしたが、驚いたのは究極の目標とも言える環境整備?です。極言すれば、電気の供給が無くても作業可能な設備と、使用する道具も手作りしたいとの事。例えば鑢なども自作を目指しているそうです。

広範は研ぎに関しての話題が多くなって行き、使用する人造砥石に付いて・天然中砥の御薦め・傷を消す際の手法等、個別の質問や意見の交換に。その流れで、食味に与える鋼材や砥石の違いも体験して頂きました。

 

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偶々、家に在ったトマトで鋼(炭素鋼)とステンレスの違い。双方、天然仕上げ砥石で砥ぎ上げたペティです。やはり鋼の方がえぐみや酸味を感じにくいとの事。

 

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続いて、同じステンレスペティですが、一方は其の場でキングの8000番で研ぎ直した物。此方も天然砥石の方が好印象で、同じ仕上げ砥石同士でも此処まで違いが有るとは予想外といった反応。

 

 

 

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最後は手持ちの包丁等で試し切りの披露。私が依頼を受けた刃物は、此れに準じたテストと刃先の拡大画像での確認をパスしてから御返送に成ります。紙の一枚・二枚を切るだけでは、刃先のしかも一回の切れのテストにしか過ぎません。厚みや粘りの或る対象を、まな「板」の上で繰り返し切る包丁のテストとしては不足ですので、此れをパスした後に研ぎ直して完了とします。

宮崎さん御持参の(鍛造と研ぎを改良済・巣板仕上げ)椿包丁・私が今回に備えて購入後、砥ぎ上げて置いた椿包丁・水野鍛錬所の廉価版相出刃・司作三徳・自作の菜切りでトライです。

結果は研ぎ方や使用砥石の違いを感じて頂けた様です。宮崎さん御持参の椿包丁(巣板仕上げ)を、自宅の同等品と思われる巣板で研ぎ直して試して貰ったり、更に若狭の戸前で研ぎ直して試して貰ったり。その差を実感して頂けて良かったです。

改良版の椿包丁は、刃先の研ぎ上がりに比して予想される以上の性能で、確かに改善されている印象。特に鋼の焼き入れが少々、硬度が高目に成っていたので粘りは充分ながらシャキッとした刃先に。刃体の薄さ・切り刃の薄さと相俟って、通常は切れに不足は感じないでしょう。

後は、研ぎに拘る方向けとして研ぎ代(とぎしろ・削り落とせる余分な厚み)を残した方向も勘案頂きたいと要望しておきました。そうすれば現状少ないとは言え、切り刃の凹凸や砥ぎ肌の傷を無くすのに、薄くなり過ぎる懸念を払拭してくれますので。

兎も角、今回の御訪問は三人揃って意義深い意見交換会となりました。今後の活動に於いて、様々な情報発信・協力関係に活かせて行ければと思います。御二方には御訪問、有難う御座いました。今後とも宜しく御願い致します。

 

あ、お土産に頂戴した五島のはっちかんかん(八匹雷)とオーブンラボ?のレアチーズみたいなのは美味しかったです。感謝です。

 

 

 

 

 

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