砥石館に通う最終日

 

先週の土曜日で、私が通常砥石館に詰める予定は終了しました。後は、講習の御希望や他の集まり等の予定が有れば使わせて貰うかも知れません。

前回の記事に上げていた司作三徳の黒打ち。その一本を持参して常連様に無事、御渡し出来ました。実は以前、卯の花を作った話をした際に、持って来てくれないのかと言われたので近所の豆腐屋へ買い出しに。

残念ながら、おからは売り切れで代わりに木綿と田舎豆腐を買って来ました。先ずは豚肉(スライスを手で微塵に)・豆板醤・豆鼓醤・甜面醤・酒・醤油で、木綿の方を麻婆豆腐に。

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最後に、ネギと山椒(ハウスの挽ける奴)で仕上がりです。流石に持って行けないので画像を見せたら、常連様親子には口を揃えて文句を言われる羽目に。藪蛇でした。

 

因みに田舎豆腐の方は、耳昆布の出汁で茹でてから切り分け、グリルで焼きました。片方は柚子果汁+味噌、もう一方は梅肉で。

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肝心の砥石館の最近の動きとしては、青砥に注力している所です。本より丹波地方は、青砥の産地として有名ですが代表的には三つの地区、即ち宮川・神前(こうざき)・猪倉があり、夫々性格の異なる砥石が採れていたとの事。特に猪倉では、佐伯砥などの毛色が違う物も。

ですので、今後は砥石館に足を運んで頂ければ試し研ぎ等、実際に触れて違いを実感出来るのみならず、購入頂ける可能性も視野に入って来た様に思います。実現すれば砥石の違いに敏感な方や、自らの拘りに忠実な方には喜んで頂けるのでは無いでしょうか。

参考までに、私の手持ちの青砥(お気に入りの三つ中の二つ)の画像を挙げてみます。

 

例題は青紙の切り出し、白巣板仕上げの状態です。

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研磨力は強いが、仕上がりは少々荒い物です。恐らくは宮川産。

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良く下ろしますが、比例して傷もそれなりです。

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数年前から、和包丁の裏押しなどに使う事もある鏡面青砥です。恐らくは神前産。

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上の青砥の次に、そのまま使ってみました。同じ青砥という名前ですが差が大きいので本来は、間に中継ぎに値する粒度の砥石を挟むべきですが。

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鏡面青砥は、カミソリ砥クラスの硬さと細かさを備えていますが、全く同等とは行かないのは砥粒の凝集の均一さや細かさに個体差が有る点です。手持ちは極めて優秀ですが、普通はもう少し控え目な性能の物が多いかも。此れは研磨力・細かさ・切れの三条件ともに高水準です。

二年ほど前、昆布砥を触る機会が有りました。昆布を削る鉋刃を研ぐ用途の砥石ですが硬さは兎も角、細かさや均一性の不足(超仕上げ砥としては)を感じました。砥石館近辺在住の古老に伺うと、神崎周辺の硬口青砥は昆布砥として出荷されていたそうです。ですので、其方が標準の仕様なのでしょう。

 

 

 

嘗ては、老舗砥石店の常套句であった「包丁には青砥で充分」に納得いかない物を感じていました。一般的な青砥で砥いだ状態では切れと永切れ、それに錆び難さも不足が有るからです。確かに人造中砥に比べれば幾分、マシかなとは思いますが。

しかし、此の様な硬口の物ならば(一気に飛び越え過ぎな気もしますが)合砥にも引けを取らない性能を発揮してくれます。但し、刃金は良いとしても地金の砥ぎ易さからは厳しい面が有るでしょう。

と言う訳で、小さな皮むき包丁では有りますが、料理にも使ってみます。

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刃先の2~3ミリを鏡面青砥で。

 

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新キャベツが出て、やっと安くなって来ました。

 

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滑らず吸着する事も無く、切り易いですね。切り口も十分以上に綺麗です。

 

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解凍した伊賀牛の切り落としと、出汁を効かせて炊きました。豚肉には昆布と煮干し類が合いますが、牛肉には昆布と鰹ですね。前者には白菜、後者にはキャベツの相性も良いです。

 

 

これ迄、砥石館で関わらせて頂いた皆様に感謝致します。本年度からは、開館日や受け入れ体制等に変更が見込まれますが今後も宜しく御願い致します。

少し前に訪れていた、ベルギーの砥石関係者との交流が進めば先々、彼の地の砥石も販売用として御目見え。なんて云う期待もしてみたり、楽しみが尽きません。益々の発展を祈ります。

 

 

 

 

 

 

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