五本纏めて御預かりした残りの三本です。急ぎで仕上げた先の二本よりも、状態が悪かったので後回しに成っていた分です。
問題の一番は、表の梳きがベタ気味に成っている二本で、もう一本の錆と言うより変色は大した事が有りませんでした。
右の二本が前回分、今回は左の三本です。
此れと
此れは梳き直す方が良さそうで、依頼主からもその様にと。
余り使う事も無かったリューターで。
梳き直してみました。梳いた部分を、小割りした人造砥石や耐水ペーパーで均し・・・。
人造の1000番以降、天然砥石で。巣板(敷き内と白と卵)・戸前で仕上げ。最終仕上げは中山の黄色と大谷山の、相性の良い方で。裏押しは全て水浅葱です。
砥いでいる最中も、面積が広がる度に少しづつ梳き直し。専門道具が有る訳でも無いので、慣れない作業は難しいですね。
「常久」の方。
「へんこつ」の梳いた方。
変色を落として普通に研いだ方。変色は恐らく、石鹸などの油脂の付着が原因ではと。
研ぎ減らし方は、これまで見た中では特に均等で見事でしたので元の持ち主の腕と知識が垣間見えた気がします。
仕上がり、表。
裏です。
元の状態から大きく逸脱しない範囲で錆・汚れ・ベタ研ぎを修正しました。砥ぎ減らすのも錆を削るのも、最低限過ぎたかも知れませんが自分なりに、まあ及第点かなと。
刃先の養生は次の使用者に御任せしたく思いますので、皮砥やラッピングなど御好みで御願い致します。有難う御座いました。