砥石と、選別依頼に付きまして

 

S様に御送りした裏押し用の硬口砥石、それに前回掲載した自分用の白巣板蓮華や浅葱・レーザー型は、之までとは違ったルートで入って来た東物でした(巣板は判別待ち?で他のも未だ伏せます)。後続として、同系統の白巣板蓮華その他もと算段していましたが、価格的に厳しくなる可能性が出てきました。仕入れが同程度の値段でなくなる訳です。

その為、S様の硬口の質と性能の砥石をあの値段で出すのは難しくなりそうです。可能ならば、巣板も回せるようにと考えていたのですが、有ったとしても普段使い用としてお奨め出来る価格になるかどうか。これは私にとっても同様で、取り置き分の確保も不確定です。

砥取家製(丸尾山)も数年前より高目になって来て、以前にも増して見栄えのする砥石は気軽に購入し難い状況になっている昨今、辛い所ではありますが。とは言え、私の仕事用の砥石は、巣板各種・通常の合砥・平面と曲面対応の鏡面近辺を狙える合砥・各種小割りした砥石含め、一生分で必要な量は確保出来たと言えば出来ました。

 

例えば、本焼きに使用を想定している巣板(蓮華入り)ですが、現在は以下の砥石達で対応しています。

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鎌砥に近いサイズですが筋を避ければ結構、良い仕上がりに。

 

 

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変形ですが、上の砥石より粒度細かく砥面の狂いも少ない。更に上の仕上がりを提供してくれます。

 

 

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上二つを足して割った様な使い勝手です。

 

 

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そして最近仲間入りした物

 

 

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此れもですね

 

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因みに、仕上がりはこんな感じ

 

 

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此方(奥殿)は資料みたいな気持ちでの購入でしたが

 

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予想以上に使えますね。と言うか、最も優れるかも知れません。

 

 

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他には、元祖本焼き用としていた白巣板巣無し(敷き内気味?)もあります。

 

 

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それら本焼き用の手前で地均しをしてくれる頂き物の若狭産

 

これらの砥石達以外にも、目的別に各種・各サイズ・複数の性質に亘って大抵揃いましたので、以前とは違ってせっつく気持ちに惑わされる事も無くなり、冷静に見ていく構えで居られます。

 

 

 

 

あと。S様用の青砥ですが、手頃なのを持って帰れました。サイズは、幅が5.5cm強~6cm弱。長さ20cmの厚さ5cmといった所です。

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大まかに面付けしましたが、質としては硬さ・細かさ・研磨力共にバランスが取れ、文字通り優等生だと思います。割れに繋がるヒビも目立つ物無く、強いて言えば底面がまっ平らでない事でしょうか。一応、砥面以外は石ちゃんを塗っておきました。

 

 

 

参考までに手持ちの青砥ですが、あと二本(硬さ中庸のややシャリと、柔らか目のトロ)は親の家に置いてあります。トロッとした泥がやや多めに出るのが好みです。シャリは、何処かスリガラスのイメージが。

 

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トロでしたが硬い部分が増えて行き、かなり使い勝手が変わってしまいました。大きくて重いので余計に使わない状況に。幅と厚みは8cm位。

 

 

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青戸とは思えない硬さで先ず脱落した物。

 

 

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砥取家で、おまけに貰った物。性能はややシャリっと以外は、満足且つ好みの物。

 

 

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細いですが、性能・砥ぎ感共に最も優れると感じている物。

 

S様、以上の様な青砥(五つ上の画像)ですが、良ければ送らせて頂きます。値段的には、硬口の八掛け程度になりますので御判断下さい。

 

「砥石と、選別依頼に付きまして」への10件のフィードバック

  1. 村上様

    青砥の選別有難うございました!
    楽しみに待ってます!
    本焼き用の白巣いただけでもこんなに沢山の種類を駆使して研いで下さってるんですね。
    合砥や他の種類のもどんな研ぎ心地なんだろ?どんな刃が付くのかな?など、気になっちゃいますね。
    砥石にどっぷりになりそうです。

    裏用の硬い方の砥石大事にします。
    巣板は気長に資金を貯めて待ってますので、もし良さそうなのが手に入りましたら宜しく願いいたします。

    1. S様

      青砥についてはサイズ的な要素などで、無理な条件を出さなかった結果、スムーズに分けて貰えました。狙い通りに行って良かったです。

      他の巣板(多くは敷き内の蓮華・紅葉・黒蓮華混じりで、他は黒蓮華・蓮華の両方混合の白巣板とか)や刃金を光らせる合砥(東物・若狭産・相岩谷)、其れに次ぐ丸尾山の千枚系統を始め、上はカミソリ砥(大谷山・御廟山)から下は研磨力重視の地均し用の巣板(白や白のナマズ・黒蓮華・敷き内)まで、中砥以降のあらゆるルート(鍛冶屋・鋼材の違いに対応して仕上げる)で質の良い物を選別して来たつもりです。

      未だ、総ての条件(特に超高硬度の粉末冶金鋼)に対して完璧では無いかも知れませんが、夫々の得意分野では必ず活躍してくれるものと自負しています。仰る通り、何れにも固有の研ぎ感や仕上がり(外観と切れ)が有り、各段階・目的別で見せてくれる違いが楽しいです。

      時折、砥石を傍らに置いて色・形を眺めたり、砥面を撫でて粒度・質感を確かめたりしたくなるのは天然ならではだと思いますが、これは上記の仕上がりの違い・個性を確認し、その働きを確信したからこその安心感や頼もしさに由来するのでしょう。単なる「便利な道具」を越えて、相棒や戦友として見てしまいます(私は基本的に機械・道具・物に思い入れが強い方かも)。願わくは、自分が選別を任されて選んだ砥石達も持ち主にとって、そうあって欲しいと思います。

  2. 村上さん選別の砥石は別格なので、もったいなくて使うのも惜しいですが、使った時の仕上がりの良さは同系統の砥石と比べても別格なので、ついつい使ってしまいます。

    きっと今回の青砥もそうなります!

    他の種類の砥石も沢山あって、どんな砥ぎあがりになるんだろ?と気にはなりますが、好奇心に財布が追い付かないです・・・

    村上さんや、他の方々のブログを拝見してますが、やはり巣板系の仕上がりが好きなので、巣板系が充実できたらいいなって思ってます。

    1. S様

      今回の青砥が御希望にかなう物であればと思いますが硬さ・粒度・泥の出方など、違いが大きい種類ですので好みもまちまちに成りますね。

      私の経験上では、やや硬めで泥も特に多くない割には研ぎ目細かく揃った仕上がりで、青砥の中では形状・研ぎ肌を精密に研げるタイプだと感じました。泥の多い物や柔らかい物と二本立て体制が可能なら、通常使用での青砥は其れだけで事足りるでしょう。

      巣板は実用的ですよね。私も基本的には敷き内や白系統の巣板派です。形状を作り、刃先を研ぎ出し、外観を整えるのを一括で任せられます。但し、包丁に対して敷き内や白系統を越える相性と性能を見せてくれる黄色と卵色は少ない印象でした。これは刃先周辺でなく切り刃全体を一様に当てた場合の話です。どちらかと言えば黄・卵は平面の刃物向きかなと考えています。

      他の層への興味を満たす程度であれば、80型やレーザー型の不完全な形状・薄目の物、不定形の原石ならば流石に手頃な値段の物も出てくるでしょうから、その辺りをじっくり選べば大丈夫かと。あ、青砥は明日には発送出来ますので、もう少々御待ち頂きます様、お願い致します。

      1. 村上様

        青砥届きました!
        前回の硬い砥石同様凄く研ぎやすいですし、よく下ろします!!
        持っている青砥と同じ感覚で研いだのですが、あっと言う間にカエリが出たので驚きました。
        こんなに下ろすのに研ぎ目は綺麗ですし、驚きました!!
        大事に使います!!

        ・・・でも、もったいなくて使いたくない気持ちも(笑)
        ご選別ありがとうございました!

        1. S様

          お気に召された様子にて安心しました。

          御感想のままの石だと思います。型崩れし難い適度な硬さと邪魔にならない程度の泥、細かい粒度の割りに研磨力もある。寧ろ平面の刃物に向いているかもですが、傷が浅く均一な研ぎ目に仕上がるのは全ての刃物にあらまほしい要素です。

          余りお気に入りになっても、勿体無い病が出る恐れが付いて回りそうですが、これは物に拘りを持つ者の宿命なんでしょうね。嬉しい悩みなのかも知れませんが。

          此の度の青砥の御依頼、有難う御座いました。

    1. 尚様

      おお、援護射撃が。そうですね、若狭は程よく硬目の砥石が出るので頼もしい存在でした。

      柔目、泥多目の次に使うべき砥石を選ぶなら、外す手は無い石達なので当てにさせて頂きたいと思います。

      でも何処かで少し前、松阪に買い占められた記述が有ったような・・?何れにしましても、採掘して頂けている現状に感謝です。

    1. いえいえ、直接私に関連せずとも、書き込みされる方の双方が納得ずくの遣り取りであれば然るべく。以前からの方針と合致する所であり、何の御気兼ねもされません様。

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