この連休に、亀岡に行ってきました。目的の半分は、以前北海道から本焼きの柳の研ぎ依頼を頂いたS様に相応しい砥石の選別でした。
結果としては、通常使用では中々の物が多く在りましたが、本焼きに適する上に出された条件に見合う物は、もう少しじっくり探したいと思いました。S様には、値段・期間の幅を取って頂きましたので、短期(週単位)での選別ではなく、やや中期(月単位)で対応したく存じます。
代わりに、私の仕事用(本当かな?)の砥石で追加と変更をしてきました。
先ずは小さい白巣板ですが、之は特殊用途専用です。和包丁の切り刃を仕上げる際、複雑な面構成に成る所への対応は大きく二つ。一つは狭い範囲毎に小割りした砥石で分割、もう一つは其の面に合わせて砥石表面を変形させ、そこで研ぐ方法です。
下画像の砥石は、後者の方法に使用する目的で選びました。選定基準は、石そのものがやや当たりが柔らかく、肌理細かく尖っていない砥粒で傷が消え易い物です。小さ目が在り難いのは、当然大きい物で同様に使うと平面管理が面倒なこと、作業のテンポが遅くなる事、砥石の性格として、その目的に対して最大に振り切った物が少ない事からです(絶対数と、其に伴う確率の問題)。
一応、切り出しを研いで見ました。目的通りの仕上がりですね。問題は平面以外での働きですが、それも現地で試し研ぎ用の置き包丁(来週生ハムスライス予定にて)を研いでテスト済みです。
次は、八枚と表示が在りましたが、ほぼ千枚ですね。此方は、少し前に白巣板と共に購入した敷き内曇りが、やや性格的に似すぎていたので交換して貰った物です。
刃金は、この系統としても可也良い状態です。
最後は、砥取家で集合していた常連の一人、小鮎様から頂いた中山の並砥です。どうやら、再生品?に近い砥石で大きく厚かった物を加工されたそうです。経験値を上げて貰えるプレゼントを、何時も有り難う御座います。
刃金は、上の砥石に比べてやや曇り加減ですが元々は結構、柔らか目だったそうなので其れ故でしょうか。対して、地金は此方の方がやや明るく仕上がり、そう云う違いも面白い所ですね。そして、層が変わって硬さも激変したとの由、又鉄を吸っての変化もあるでしょうから、今後はどうなって行くかも楽しみです。とは言え、充分な綺麗さと切れではありますが。
次の日曜も、同様の予定ですが前回よりも大変そうです。春からの動きや予定が確定したり方向性が示されるかも知れません。それに亀岡周辺での動きも連動して来る筈ですので。
しかし其れとは別に、依頼を頂いた砥石の選別は抜かりなく行なうつもりではあります。
村上さん今日は、中山並砥は元々は硬い砥石でしたがアクが出た様で、面を落としたら柔らかく成っておりました。
筋が多く趙硬の針を刺した所何か所か縦に焼けによる巣の様に成っている所が有り、そこを避けて砥石をとった残りです。
縦に切るより横広の方が使い良いと思い切断しました(^^)/。
取った砥石は焼けによる巣を落とすため3㎜程落とすと多少硬さが増した感が有りますがしれています。
木も砥石も油が抜けるとダメだと言いますが、それに近いのではと考えます。
只粒子は細かいと思います(^^)/
小鮎様
詳しい御説明、有り難う御座います。自分では余り東ものは触っていないので、幾らかでも其の片鱗を確かめさせて貰っています。
現在迄のところ、さしあたって困る程の相性探しが必要な刃物は中々在りませんが、今後出て来るかも知れない難敵を思えば、武器は多いに越した事はありません。其の意味では、個人的な興味と共に仕事にも役立つ勉強が出来て感謝しております。
砥石道を追求される過程で、得られた事柄から又、周囲に善き波及効果を御願いしたく思います。
お世話になります。
選別お手間おかけしてしまってごめんなさい。
本焼きの包丁を所有している白巣板や、大上で研いでいますが、ダイヤモンド砥石で目を起こしてみたりしてみたのですが、ツルルル滑ってしまいなかなか上手く研げません。
力を入れてみて暫く研いでいると少しだけ砥泥の色が変わってくる感じです。
合せの包丁を研ぐと、すぐに黒目の砥泥が出てきて、鋼部分も薄く曇った感じで下ろしてくれます。
砥石と包丁の相性が合った時、こんな感じなんだろうなと、妄想して選別して頂く砥石を楽しみにしてます!
S様
コメント有り難う御座います。天然砥石の研ぎにも取り組まれている御様子にて御同慶の至りです。
選別については、どのみち亀岡には月に一度は行くものですから苦ではありません。強いて言えば、頻度は幾分上がるでしょうが何れにしても、寧ろ楽しみ半分で見てきます。選び出せた石については、ある程度は期待して頂いて良いと思います。
今後も、気になった内容や疑問点など在りましたら、お気兼ね無く御願い致します。
Sさん初めまして、ダイヤで目お越しする際に水を少なくして面直しをする様にして、ダイヤで出した砥泥ごと研がれては如何でしょうか?
本焼き包丁は研いだ事が無いのですが(^^;、レーザー剃刀の全鋼を研ぐ際名倉砥石の砥泥が必須でしたから…
村上さん、例の御廟山が家に届きました、バラさん用とお聞きしていたのに良いのかな?まあ家に送られてきたので良いのかと思い研いでみました。
まあ本当に良い砥石でした、トリッキーさは、赤よりはましですが、硬さのわりに包丁・剃刀共に良い刃が付きました(革砥石の養生が必須)。
仁淀の小鮎さん初めまして!
手持ちの白巣板や大上で研いでいますが、人口の砥石とは違って、水だけで研いでもほぼ砥泥が出ず、切刃の表情も変わりませんでした。
ダイヤモンド砥石で泥を出して研ぐと、研いだ切刃が曇り出し感激しました。
水を少なくして面直しするように泥出して研いで見ます!
勉強になりました!!
木材を削る鉋は硬い鋼だろうと思い、良く鉋を研いでらっしゃる動画を見ますが、そのまま水を付けて研いでいて、その際直ぐに真っ黒な砥泥が出ていたので、私の包丁も同じくなるだろうと想像していましたが違いました・・・
全鋼の包丁を天然砥石で研ぐ場合、目起しや、名倉で砥泥を出してから研ぐのが良いのでしょうか?
研ぎ方や砥石を替え上手く研げた時たまらなく嬉しいくて毎日研いでいて、包丁が減って無くなってしまわないか心配です(笑)
S様
泥の量で変化が見られた様子にて良かったです。それも、一種の名倉でしょうね。
鉋の刃は、全鋼は日本製では少なく、更に高級品は研ぎやすい錬鉄や和鉄が使われているので、包丁と同じ見方は出来ない所もあります。
前回(二回連続)の亀岡行きでは思う物が無かったので、次回は理事会を兼ねて(自分は幽霊ですが)下旬に集まるので、其処でも探して来ます。おっと、其の少し前にも一度行きます。
村上さん、折角素晴らしく研いで頂いたのに、蛇口にカチッと当ててしまい、小さいですが刃先が欠けてしまい、直すのに苦労しました。
切刃の仕上がりを、村上さんに研いで頂いた時と同じ用にを目指してますが、研ぎムラが出てしまうので、試行錯誤してます。
私の包丁を研いで頂いた砥石の横にある小粒の石は何につかうのでしょうか??
探して頂いてる砥石気長に待ってますので、宜しくお願い致します。
S様
少しの欠けなら、毎回必ずしも完全に修復しなくても良いのでは、と考えています。性格上、万全の状態でないと気が済まない。或いは仕事上どうしても必要。等を除いてですが、特に柳では乱暴に扱う事がまず無いので、欠けが欠けを呼ぶ事も少ないと思うからです。段階的に研ぐ度に減らしても良いかなと。
研ぎ斑は、出ない事は無いでしょうね。それだけ難易度の高い仕様になっていますから。先ず、新品の段階で元と切っ先手前が削られ過ぎの傾向なので、其れをカバーする為、複雑な遣り繰りが必要です。更に、私が適正と考える切り刃の形状に近付ける訳ですから。この辺りは、以前メールでも御説明したかと思います。ですので、もっと単純な面構成の切り刃に比べると、どうしても斑が出ます。
そして、お気付きの小さな砥石が度々書いている「化粧研ぎ・均し研ぎ用の小割りした砥石」です。此で今回も仕上げました。と言っても、相性の良い砥石が有った為、さほど頼りませんでしたが(因みに、白巣板の通常・ナマズ・蓮華・黒蓮華、敷き内、千枚の硬・軟・粗、大谷山の硬・軟その他を用意してあります)。兎も角、それらを使う事で通常の砥石で出来た斑も消し易い場合は多いです。
以上の様に、複雑な形状の切り刃ほど相性の合う砥石が必要と感じますし、出来るだけ其に見合う物を探すのが肝要かと思われます。そこも私が選別に拘る理由であり、より其の重要性を御理解頂けたのではないでしょうか。
小鮎様
確かに良さそうな砥石でしたね。あと、私の手持ちの石にも似ていました。
この前、聞いた話では海外へ送るのは、あの時加工場に有った分になるそうですから大丈夫なんでしょう。
自分の経験では、大谷山より少し大人しくない刃先に仕上がる感じなので、より養生が必要になりそうですね。
村上さん、確かに養生は必須ですね、コードバン#80000で養生しましたが数回の往復で十分ですね(^^)/
コードバンの番手はどうも革の柔らかさの様ですね(^^)/
小鮎様
コードバンは使った事が無かったのですが、そうなっていたんですね。自分のは、昔に買った細長い木の表裏にそれぞれ革の裏面・表面が貼ってある物です(赤色の研磨剤付属)。
ナイフには良かったですが、包丁には少し荒い気がして長く触ってませんが、状況によってはと置いてあります。いざとなったら、其こそもう少し上等な革砥を探しても良いかも知れませんね。