この前の日曜日は、数年ぶりに関の刃物祭りへ出掛けて来ました。理由の一つは、服部に居た頃の先輩と合う為の、恒例の機会と成って居た事。コロナに因る自粛や規模の縮小を挟んだので、本当に久々に成ってしまいました。
もう一つは、二週間ほど前に日野浦さんとの連絡時(注文品の催促)、「今は海外出張前なので行くつもりは無かったが、村上と会える+ブースに座っている時に出来なかった通りの見物ができるなら、行こうかな」との事でしたので、日時を合わせて出掛けました。
事前の準備として土曜日に、先輩の好物の奈良漬けを購入。此方は十数年振りでしたか、しかし店舗は変わらずに盛況な様子でした。
ブログを通じての知人・世話に成っている方・親への土産の分も合わせて。
もう一つ、日野浦さんからの砥石選別の依頼を頂いている中、採掘の進むペースに御付き合いを願っている関係上、申し訳無いので私の御薦め中砥を御土産として持参する事に。幸い?対馬は触れる機会が薄かったらしいので、恐らく楽しんで貰えそうです。
以下は手持ちの対馬です。使い勝手が良く、研ぎ減りも少ないので気に入って居ます。
そして、御土産用に用意した対馬。珍しい色のカシューで養生されて居ましたが、少し擦過傷が見られたので、自分でも透明の物で塗って見た所、やや落ち着いた居色合いに。
あと日野浦さんからは「作業途中の段階だが、刃の方は見せられる」と聞いて居ましたので、代わりに私の手持ちの司作を研ぎ直した状態を見て貰おうかと。
以下の様に、何種類かの小割りを用いて(各種浅葱でも新たに数種を作って)地金に合う仕上がりを模索しましたが、最近の地金は数年前までの物とは異なり、同等の研ぎ肌には成らない事が改めて分かりました。
とは言え、相応の仕上がりには成りましたので、研ぎ方の方向性を把握する練習にも丁度、良かったと思います。今回は、入手時の切り刃の状態から厚みの調整と、刃先の角度の研ぎ分けから進めましたので、傷消しは程々にして有ります。
柳の方は、少し前に研ぎ直したので、其の儘で見せに行く事に。結果的に、「此処まで研ぎ込むのは大変なんだよな」とのコメントでした。御自身による、相当な研ぎへの拘りと年季を感じさせますね。刃体の形状の追及にも、納得と高評価を得られている様子で何よりでした。
さて当日の刃物祭り二日目、日曜は昼前に到着しました。体育館(アウトドアナイフショーのブースの場所)をぐるりと回りつつ、日野浦さんを探しましたが見付けられず。代わり?に息子さん(睦氏)のブースの方に顔を出して挨拶し、少しの会話後に捜索を再開。
結局、見つかりませんでしたが携帯での遣り取りでは、予想以上の挨拶合戦に成って居るとの事でしたので、食事場所の予約かたがた、刃物会館の方へ向かいました。
(服部での先輩には、すんなり合流できたので奈良漬け・砥石を手渡して、夕刻頃に再度の合流を約しました)
途中、郵便局周辺には御洒落な美容院とホテルが並んで新設されていて、暫く見ない内に様変わりしたなと感慨深い想いも。
肝心の新生、刃物会館はガラスを多用した近代的な外観と成って居ましたが、その画像を撮るのを忘れる程、前庭での催しが気に成りました。
自衛隊の兵員輸送車でしょうか、其れとバイクの近くで記念撮影をしている人々が。さらに奥には特設ステージでライブも。何故か、国交省の投光器を備えた車両も出ていました。
刃物会館の内部は、スペースの多くがショーケースに割かれていました。昔と比べて、山林道具や工具類は影を潜め、調理器具に重きを置かれている印象です。就中、キラキラと綺麗なハンドル材を使用したモデルが目を惹きます。
期せずして日野浦さん御夫婦と取引先の方、其れに私を含めた六名での食事と成り、何故か当方まで御馳走に与ってしまうと言う経緯を経て、屋外に出ると結構な雨模様。全身防水仕様の私では有りましたが、通りを見て回りたいとの御意向を聞いていたので、台風傘を持参していました。其れを使って貰って移動と成りました。
日野浦さんの車で、御持参下さった包丁類の刃を確認。しかし、予定していた二種類は含まれていなかった為、(注文を受けていた別種の分を)代わりに指定して仕上げまで頼みました。
思えば、出会ったのは2002年(2003年だったかも)の刃物祭りでしたので、今回の刃物祭りで丁度、二十年程の御付き合いと成りますね。時間が経つのは早いものです。
車を出て別れた後、先輩と合流しようと再び体育館へ。息子さんが片付け中でしたので、先輩の片付けを待つ傍ら短く会話し、残って居た味方屋作の鉈を一本、購入しました。
司作の鉈と違って、味方屋の鉈は十数年前に大阪のナイフショップで竹割鉈を購入して以来です。其方は、狙いが其れて先端をコンクリートの床に打ち付けた際も、派手に欠けずに小さな欠けと捲れに終わったので其の熱処理に感心し、以後、何度か使いながら研いで来ました。
下画像は今回、購入の品です。五寸の両刃で、手持ちの司作の片刃の鉈の三本とは異なる使い方が出来そうです。
数年前に研ぎ、仕舞って置いた竹割鉈ですが、一部に変色が見られましたので、研いで置く事にしました。
最初は、曇り仕上げで終えていたので、自作の革シースと云う事も有ってか、やや深錆と言えるレベルを地金の二か所に発生させてしまいました。
其の後、刃金は殆ど鏡面・地金は半鏡面仕上げとする事で、明らかな錆の発生は防げています。私が鏡面・半鏡面を推奨する理由は、単に永切れのみならず、この様な経験を踏まえたが故です。
研ぎ前、画像では判別困難ですが刃元の両側に変色。
刃先も、やや角度の不正確さが残って居ましたので、対馬で研ぎ直してから硬口・超硬口の仕上げ砥で。地金部分は、千枚の小割り其の他で均し研ぎ。
研ぎ上がりです。使用目的が目的ですので、嫌でも荒っぽく成り勝ちゆえに、仕上げの傷消しは程々で勘弁して貰いましょう。
此れで、或る程度は地金も均一性・防錆性が向上。
刃先部分は、包丁類よりも数段、鈍角のハマグリに
刃物会館では、こんな物も選んで来ました。家に有る物は、良く切れるステーキナイフとソコソコ切れるステーキナイフですが、何方も厚みが薄いので、食パン・バゲット・パンドカンパーニュをスライスして袋に詰め、冷凍した物を分離させ役割には負担が大きい様子。此れは余り切れそうに無い代わり、厚みが充分ですから、パン同士を剥がすのにちょうど良さそうだなと(笑)。
大阪へ帰る間際までは、先輩と恒例の喫茶タイムで近況を語り合い、またVG10の無垢材でペティを作って欲しいとの依頼が有った際には、製作を願いたい旨の要望を伝えたりして時間を過ごしました。
あと、司作を注文頂いて居る皆さんには、御待ちの期間が続いて居ますが、とうとう御本人とラインの交換もしましたので、より直接の遣り取りも可能と成りましたので、何とか目標の製品の製作まで漕ぎ着けたいと思って居ります。