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検査二回目に向けて

 

検査二回目は前回記載した、11月頃に導入される最新型の機材とは別件で、事前にサンプルを送って元素分析と酸化物について調べて貰う形の物です。

以前から興味を持っていた天然砥石の錆に対する利点を確認し、その理由を探る為に表面の酸化物の厚みや、砥石と鋼材との間で成分の結合などで組成が変化していないかを検査出来ます。対比の為に、人造砥石で研いだ物と天然砥石で研いだ物が必要になる訳ですが、天然の方は前回準備したサンプルで問題無い様なので、人造のサンプルとして1200、6000、8000番で仕上げました。今回はこの内、8000番を使い、天然の合砥仕上げと比較します。

 

 

1200番(数年前の物)と1000番 (二十年ほど前の物)

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8000番と6000番(双方、数年前の物)

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右から1200番、6000番、8000番仕上げの表(刃金側)

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同じく1200番、6000番、8000番仕上げの裏(地金側)

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参考までに、十年ほど前の6000番と二十年ほど前の8000番ですが、色味は現行の物と逆に見えますね。こちらの8000番の方がやや細かく研げる様なので、以前日大の先生から依頼された研究用サンプルは現行品は使いませんでした。しかし今回は月山さんの案により現行品を選択しました。

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6000番・8000番共に久々の使用となりましたが、どうも思っていたよりピカピカに成りにくかった感じがしました(特に地金側)。前段の傷が消えきっていないのかとも考えましたが、研ぐ方向を数回、直交させて一面に揃う程度には確認したので、最低限はクリアできたとして良いでしょう。これらを月末までに送れば十月上旬には調べて貰える事と思います。之までの、形状的な研ぎのチェックと並んで、同じくらい重視してきた天然砥石を使う意義を証明出来る事を願っています。

 

 

検査本番初回

 

昨日、三重の月山さんと共に京都府中小企業技術センターにて、本番の検査の初回を行ってきました。

目的は、それぞれが研いだ刃物の形状が、狙い通り正確に仕上がっているかの確認。もう一つは研ぎ前の刃物の状態(購入したまま、吊しの状態)から研磨を施した状態との違い(形状・研磨面の粗度)を、画像・センサーにより数値的に比較する事です。

以上により、新品が最良の状態。又、研ぎはどのように行っても違いは無い。といった誤解や理解不足から来る一般的な認識を払拭するに足る根拠が得られると考えています。研ぎの必要性とその精度(合目的的な形状)の重要性が再認識、或いは初認識されればと思います。

 

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これは膨大な時間を要する為、現実的には使いにくい様です。

 

 

 

 

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これは形状的に厚みの無い試料では精度が出しにくい様です。

 

 

 

 

そこで、お馴染みの曲面微細形状測定システム

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上画像による

切り出しの研磨の前後比較

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柳(ほぼベタ)と小出刃(ハマグリ)の比較

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上記のデータから、形状の特徴的な部分で抽出して比較

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検査機器の性格上、拡大が過ぎると地球の球状が平面に見えるのと同様、グラフの線では比較しにくい様です。勿論それぞれ特徴的な違いは有るのですが。この手の検査には、近々導入される最新型がより適しているとの事で、更に其方で進める予定です。

 

 

 

次回以降に向けてのサンプルも、ほぼこのまま使えそうとの返答を頂いたので、いよいよ天然砥石による錆びにくさと硬度変化についての理由が解明出来るかも知れません。 研磨痕の深浅による表面積の違い?砥石成分との化学変化か研磨性の差異?の疑問に、電子顕微鏡による画像や元素組成・酸化物の計測で迫れるのか。自由研究としては申し分の無い内容になりそうです。

 

画像は豆鉋(右、千枚・左、大谷山仕上げ)とサンプル(右、白巣板墨流し・中、千枚・左、大谷山仕上げ)

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研究の後で砥取家に寄りましたので、前回に続き、同種のやや小さめ乍ら硬口で細かい砥石を手に入れました。これで千枚系は、砥石山見学で拾ったり、ハネた中から貰ったりした物も含めて大小8個程、大まかに三系統集まったので一安心です。勿論、上画像のサンプルにも使用しており、特に鏡面系の最終仕上げ前には繋がりが良く、重宝しています。

 

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サンプル切断

 

砥取家にて、サンプルと弓鋸(タングステンカーバイトコーティングワイヤー装備)を持ち込み、万力を借りて切断してみました。

最初は、ウオータージェットカッターみたいな物が在れば、等と考えていましたが、当ても無いので自力で切断するしか無く、かといって切断砥石では熱が凄いと思い、弓鋸で挑みました。昔、カウリXのムクと積層を焼き入れ前に切ったのを思い出しましたが、しっかり焼きの入った白紙はかなり滑り、やはりもっと手強かったです(地金は地金で粘りや弾力で、また違った味わいでした)。しかし結局、人力での摩擦熱とは言え、結構熱くなっていたので若干の心配も在ります。

5~6個は切り分けるつもりでしたが、少しの休憩を挟んで1時間では3個止まりでした。次回も3個くらいになりそうです。

 

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あとは平面出しの為、表裏を研削後に各種仕上げ砥で研磨すればサンプルの完成ですが(拡大しての検査・耐蝕性テスト・出来れば表面の酸素や水分含量測定用)、二日後の検査では包丁その物の精度を測る目的ですので、飽くまでも次回の検査への下準備であり、機器の治具への適合如何を見る為の作業という事になります。

 

 

 

今回の丸尾山砥石の収穫。最近は取り回し重視でコッパや鎌砥・切れっ端の購入が多かったので、やや大きめ(普通サイズ・定寸)のは久しぶり。因みに自分が買う砥石の3~4割は、面が付けられる前の段階で選んで居ますので、判子などは無い物も多いです。この二つも帰宅後、面付けをした所、大当たりでした。近頃は思った様な砥石を選ぶ事が安定して出来ているので、研ぎの相性探しが幾分楽になって来たような気がします。(特に左は、はねてあった所から見つけて来たのでオマケみたいな物ですが、使用に際して難点を克服可能なら、石質は良いので使いたいと思い、購入しました。)

 

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待ちかねたサンプルが到着

 

以前から依頼していたサンプルが鍛冶から届きました。これは刃物として製作した物では無く、細長い刃金と地金を一定の厚みで鍛接・焼き入れして貰ったものです。ほぼ通常の作品を仕上げる工程と同等の作業内容を経て、日野浦さんから提供して頂きました。

 

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刃金側は研磨されています

 

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此方は地金側・打ちっ放し乍ら精度の高い仕上がり

 

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問題は、これを検査機器に掛けられるサイズに切り分けて表裏を研ぎ上げてやっとサンプルの完成となる事です。熱を掛けると金属組織に影響が出てしまう事を考えると、切断方法も限られますので、何とか上手い方法を探そうと思います。

 

 

 

 

此方も以前から話を聞いていた、サンプルの包丁が同梱されて来ました。確か銀紙三号だったと思いますが、鍛造に適したステンレスは、適切に鍛造を加えると性能が向上するのを確認したいので作ったそうです(鍛造効果による切れ味・長切れ・研ぎ易さに加え、細かく研磨した際の錆びにくさ)。

実際、到着したままの状態で手近に在ったトマトを切ってみた所、之まで経験した切れ味の良いどのステンレスにも引けを取らないものでした(対象はカミソリ砥を含む天然仕上げ)。現状は人造仕上げと思われるので、之を天然で仕上げれば更に切れ味が向上する事も考えられ、そうなると益々トップレベルの性能を見せてくれそうです。

 

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直近の予定としては、今回届いたサンプルを仕上げる前に、刃物の形状や研ぎ肌の精度を測定する検査を、九月上旬に研究の第一弾として取りかかりたいと考えています。

今在る包丁などの現状から、不必要に削り過ぎない範囲で如何に目標、つまり理想と考える形状に近付けられているか、そして望む研ぎ肌のレベルに仕上がっているかが確認出来ると思います。

 

 

 

サンプルの予備 続き

 

前々回に引き続き、研究用のサンプルが届くまでの「予備の準備」シリーズです。豆鉋は、刃先が完全には揃っていなかったり、刃金部分がやや平面が甘かったり(僅かにハマグリに研ぐ癖かも)、研ぎ目が残っていますが、仮の仕上がりました。あと、切り出しの他はイカサキ(柳のスケールダウンとも見做す事が出来る)と三徳が三種よりは、出刃(ハマグリ刃の代表例)を加える方が良いと考え、普段最も使っている小出刃(五寸五分)を加える事にしました。

 

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双方共に、未だ仮の仕上がりと言うのが正直な所で、研究に掛かるまでに出来ればもう少し精度高く研いでおきたい所です。

 

 

余談ですが、所属している社団法人で監修した恰好の本が、来週半ばに出版されます。私は自分の書いた文章以外にも、結構な範囲について校正というか校閲みたいな事をしました。しかし、最後の最後でもう一度試し刷りの印刷物で確認出来るとばかり思っていたにも関わらず、そのまま製本の流れになりました。小さい頃から割合、誤字や脱字が気になる方で、印刷物を読んでいると実際、目に付き易いのですが、何故かパソコンなどのディスプレイでは気づき難い様です。ですから、出版後にチェック漏れが出ないかやや心配なのですが、どうせ漏れがあるなら気づかないよりは把握しておきたいので、手元に本が届けば、やはり注意しながら読んでしまいそうです。因みに、姉妹本のように三年前に先行して出版された大工道具 砥石と研ぎの技法 でも気になる箇所が在った覚えが在ります。今回の題名は、包丁と砥石大全 だったかと思いますが、書店で目に付いた折は手にとって御覧頂いても、そうそうがっかりしない内容になっていると思います。

 

 

研究用の試料(予備)

 

研究サンプルの手配が遅れている為、急遽、以前にも東京の先生に試料として購入・研磨(天然・人造、双方研ぎ分け)して送った鍛冶屋に買い出しに行きました。物は同じく豆鉋で、材料も前回同様に青1と和鉄です。

 

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画像は、電着ダイヤ1000の後、キングの1000と1200を交互に数回当て、シャプトン1000と2000で大まかに形を整えた段階です。今後、再びシャプトンで面を出し、天然は合砥まで、人造は8000まで使って研究に使えればと思います。但し、1.3㎝×2.6㎝ほど有り、条件として出されていた、2㎝程の円形では無いので難しいかも知れません。無理なら初回は通常の刃物のみでスタートとなります。

 

 

因みに、前回送った二丁の豆鉋は以下の画像です。右が天然(敷内曇り)、左がキングの8000(近年の物より20年程前の方が仕上がりが良かったので、それにしました)

 

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サンプル決定と予備検査

先日は、研究目的の各種検査機材に適応する試料のサイズ等の最終的な打ち合わせと、当日持ち合わせた通常サイズの刃物でも測定出来る機材を選んで試験的に測定してみました。

 

切り出しは、新品と研磨済みの二種類、イカサキは販売用の軽く均し研ぎ済みとほぼ本刃付け済みの二種類。三徳は現物一種類です。

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使用した機材では表面の粗度と同時に面自体の凹凸やうねりも測定出来、仕上がりの細かさや面の均一性や破綻の無い連続性等が確認出来ます。

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ほぼ新品のイカサキを測定中

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これらによって、刃物自体の状態が判断出来るのみならず、任意の砥石の任意の番手(♯・グリッド)で研いだ際、センサーの振幅を読み取る事によって研ぎ目の細かさも測定出来ます。つまり砥石から転写された研ぎ傷のサイズにより、実際の砥石の性能判断にも役立ちます。以上は主として人造砥石の再確認といった所ですが、一例を挙げれば天然砥石、所謂合砥辺りはおおよそ8000番前後と言い習わされて来ましたが、それが確認出来ました。

 

そして、ほぼベタ研ぎで刃先近くからやや角度を付ける仕様にした物は、本当にそのものズバリの線がグラフ上で再現されていて納得もし、それ以上に面白く感じました。下画像は上の刃物とは関係ない、又切り刃とも確定出来ないサンプルとしての画像ですが、このような振幅と全体のラインで表示する事も可能です。

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小さな試料しか対応不可の機材用に、製品レベルの仕事を施した上で規定のサイズに納めたサンプルを、無理を聞いてくれる鍛冶に依頼しました。これで鋼材メーカーから出たばかりのテストピースに熱処理しただけではない、実際の刃物と同等の条件での測定に道筋が付きました。

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研究用の包丁(少し趣味の世界)

 

最近は御近所様から持ち込みで依頼をされたり、メールでの依頼・問い合わせを頂いたり(何故か以前から東からばかり)しつつも、明日の研究最終打ち合わせ兼手持ちサンプルでの試験運用開始に備えていました。

金属標本的な物で無く、性能的に製品レベルに達した資料製作は、既に親しい鍛冶に相談してあったので、後は機材に適した形状・サイズが確定次第それに従って加工して貰い、自分で研ぎ上げれば測定に掛かれます。それまでに出来る検査として、通常サイズでも可能な測定機によって先ず刃物自体の面精度辺りから取り掛かるべく包丁を研いでいました。勿論、製造段階で削られた部分は戻せないので、本当に理想通りの形状とは行かないまでも、より近付けるよう、そして研ぎ面に凹凸や歪みが無いように更に追加で研いでいた訳です。

所が、巣板を小割した物で表面を均したり化粧研ぎをしたりはして来ましたが、以前手に入れた柔らかめの千枚の木っ端を弓鋸で挽いて小割し、その際の粉末も用いて化粧研ぎをしてみると、巣板とも鏡面砥石とも又違った仕上がりとなりました。研究用の均し研ぎでなく趣味の化粧研ぎに近い感覚で楽しんでしまい、美観を追求する余り面精度が低下していないか一抹の不安もありましたが、一味違う仕上がりの包丁達を見ていると、やはり嬉しさの方が勝ってしまいます。

 

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研究に使えそうな機材色々

 

先日、研ぎ文化振興協会繋がりで京都府中小企業技術センター関連施設において、此方で実証を目指している試験項目の相談と、希望する研究に使えそうな機材の見学をさせて頂きました。

大きく分けて

①表面の粗度・硬さ(表面のみでは無いが)・組織の性状や組成分析用

②立体物の寸法や形状計測用(接触・非接触あり)

③金属の対候試験用(温度、湿度のみ・塩分含有雰囲気下での曝露)

があり、項目によっては、それぞれに能力の程度や使用する物(分光やX線など)による違いで、単一目標にも関わらず複数用意されていました。

 

以下は見学の際説明を受けながら撮った画像です。

 

CNC三次元座標測定機 X・Y・Z方向でプローブの接触により計測

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画像測定機 CCDやレーザープローブによる光学計測

IMG_0534画像測定器

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下画像は、最初にある物の簡略型で、直線上をレコードの針で表面をなぞる様にX軸方向(上下方向)のみに数値を出しますが、複数列繰り返せば、ある程度の面積にも対応出来ると言う事です。

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非接触三次元測定装置ですが、あまり大きな試料には対応出来ないようです。レーザープローブ式。

IMG_0537非接触三次元測定装置

 

下は硬さを計測出来ますが、かなり新しく、高度な測定が出来ます。例えば、従来のロックウエルやビッカースと違い、余り表面に傷を付けずに軽い接触で可能です。

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5%食塩水を噴霧して、耐蝕性能を比較するのに用います。通常、数十時間から数日の範囲で運用するとの事です。

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上の物より一般的な(塩分含有雰囲気での曝露でない)温度湿度サイクル試験機です。此方の方が実際の使用条件に近いテストが出来そうです。

IMG_0540温湿度試験機

 

 

下はやや旧式で、倍率も比較的控えめだったと思いますが、研磨の表面を通常観察するには手頃かと感じた顕微鏡です。それ以上の新型・高性能な物は、減圧下で試料を拡大しつつ成分を分析出来たりする優れものですが、入れられるサンプルが小さい物限定であったり、磁気を使用する為に金属は不対応だったりします。しかし、機材によっては所謂ステンレスの酸化皮膜自体を計測し、極表層、中央、最下部で酸素の含有量まで分析可能との事です。

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以上の機材を用い、刃物の研ぎ肌の粗度、形状の精度(平面度合い・目標とする形状との差異)、天然砥石仕上げの耐蝕性などを調べられればと考えています。これらによって、良い刃物は勿論、適切な研磨とそれを支える砥石の価値が見直される事を願っています。

 

 

 

検査の準備

 

包丁は、普及品の利器材使用品(新品)との対比用に、手持ちの中からやや高級な利器材使用品の包丁(新品)、手打ちの包丁(新品)を考えており、加えて手打ちの包丁に研ぎを施した物で仕上がり形状の違いが出ればと思います。

 

その研ぎの種類として、刃先以外はほぼベタ研ぎで、切り刃の厚みもほぼ一定にした物の例です。これは、包丁の身自体が刃元から切っ先に掛けてある程度テーパー状に造形されているからです。

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白巣板仕上げ

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これも刃先以外はほぼベタ研ぎながら、切っ先に掛けて切り刃の厚みを意識的に抜いた物です。これは上記の物とは違い、両端以外は身自体の厚みの変化が少なかった為です。

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敷内曇り仕上げ

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此方は身のテーパーがかなり強調されている仕上がりだったので、切り刃の厚みは一定気味。しかし鎬から刃先まで極緩いハマグリ刃にしてあります。やや欠けやすい白紙一号Aである事も関係しますが、普及品の大半が多段・若しくはハマグリ風の刃付けになっているのと対比が出来ればとの想いからです。

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千枚仕上げ

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最後にもう一度研ぎ直した普及品の切り出しです。

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