新しい道具

 

22日の日曜に、亀岡に行って来ました。大方の目的はやはり砥石探しだったのですが、お待たせしている方には申し訳ない結果で、ご希望に副う物は採掘に時間が掛かりそうです。

代わりに、自分用の物として変形の原石ですが、まずまず厚みのある蓮華混じりの巣板を見つけました。長さで16センチ、厚さ6センチのサイズがあり、面直しの際に自分は電着ダイヤを下に敷いて砥石を動かす為、やや負担になってくる重さです。勿論、刃物研ぎの最中に上下の向き変えでも少し気を使います(泥が付いていると良く滑ります)。

しかし、かなりの砥粒の細かさ・その割りに目の立った感触・中庸な硬さの砥面を評価して購入しました。硬さと目の立ち方から、圧力とスピードを加減しなければ傷が入りやすい可能性も考えましたが、其の分研磨力が有れば中継ぎとして良いし、鉄分を吸って硬さが増せば改善されるのは経験上分かっていたので問題にはしませんでした。

 

砥面

IMG_0910

 

尖った方の側面  巣が平行に

IMG_0915

 

広い方の側面   巣が見え難く

IMG_0914

 

砥面の蓮華が多い部分

IMG_0918

 

裏側

IMG_0916

 

裏の蓮華の多い部分

IMG_0917

 

 

この砥石も、加工場に在った物をそのまま持って来たので上下の面は平面ではありません。特に底面は、面付け機で巣の層を粗方落とした上部と違って切り出したままです。そこで上は巣の名残を落とす為・底は座りを良くする為、何時もの様に電着ダイヤで削り落としました(直線では無い部分の面取りは、ダイヤシャープナーを使用です)。

IMG_0920

 

 

右半分の巣が無くなった辺りで試し研ぎをした所、まだ巣の影響があるのか砥粒の目が立っている所為か、刃金・地金ともに傷が消しきれない印象。しかし其の分、前段階の傷は速く消えるとも言えそう。

IMG_0919

 

 

次の日、更に砥面を均しつつ包丁でも試してみると、硬めの刃金では結構光り気味に仕上がる物もあり。前日の切り出しで再び試せば、確かに地金では変化が薄いものの刃金は最終仕上げでも良いかと思える仕上がりでした。巣の影響の多寡だけなら地金の変化(研ぎ目の細かさの向上)ももっと大きい筈で、これは初期の予想通りの展開だと思われます。

IMG_0923

 

 

念の為にマイクロスコープで確認しても問題ない様でした

Still_2015-03-24_054831_60.0X_N0001

 

 

 

 

もう一つ、以前から興味のあった道具を試す事が出来ました。パールクレンザーがそれで、月山さんから使っていて性能が良いと何度か話に出ていましたが、大容量且つ結構な値段と言うことで、其の内に買う事もあるだろうと保留にしていました(そう勧める本人はユニークな入手方法で調達できているそうで良いなと思いつつ)。

それが帰宅したらポストに入っていたレターパックから出てきました。かずかずけん様から御裾分けのようで、早速有り難く使わせて頂きました。鋼のペティに付いた変色レベルの錆に対して試しましたが、かなり確り落とす割りに傷が付いたり無闇に光らせる訳でもなく、扱い易いものでした。

ペティは巣板・千枚(やや粗い)・大谷山(軟らかい)の其々、小割りした砥石で側面も磨いている仕様なので、これまでの通常のクレンザーは言うまでも無く傷が入るし、クリームクレンザー(各種研磨剤含む)でも表面の質感・光り方が変わります。其れが出ないのは、パールクレンザーの成分が珪酸系鉱物(天然)、あとは活性剤(陰イオン系)との表示があるのでその組成(研磨剤としては天然素材のみ)に因る物でしょう。ある意味、これも一つの天然仕上げの範疇に入るのかも?と思うと楽しい気分になりますが、実際にこれで処理した刃物で食材の味に変化があるのか試してみるのも興味があります。

かずかずけん様、この度は有り難う御座いました。ただ、余り気に入ってしまうと、自分もゆくゆくは大容量を大人買いする事になるのかと不安も残ります・・・。

 

IMG_0921

 

 

 

 

「新しい道具」への4件のフィードバック

  1.  お気にめさるな業界の義理で団体保険に入って居りました処 還暦の年齢での祝い金が有りました よって皆様にも福分けです
    有意義に使って頂ければ幸いです!!

    1. かずかずけん様

      追加までお気遣い頂き、重ね重ね感謝です。

      古いアルミの鍋でも試しましたが、手持ちの各研磨剤中、トップレベルの研磨力でした。「軟らかいながらも大きな粒子」が効いているものと思われます。完全にお気に入りになりました。

    1. 小鮎様

      いえいえ、半分は社団法人などの打ち合わせでしたし、赴く度に、其の時期に採れている砥石達を見て触って試して、は自分の研究にも活かされているので一石二鳥です。

      元より希少な種類の上、更に上質な物を探すとなると、一筋縄では行かないようです。しかし、そんな格別な極上品を期待しつつ探す苦労も、天然砥石の世界を楽しむ醍醐味の一つだと思っています。

      鉋向きの砥石と云う事であれば、剃刀用も流用しやすいタイプが多そうに思われますが、どうでしょう?もしそうなら、かなりのお手持ちが活躍してくれそうですね。

かずかずけん へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>