画像は数年前に注文し、砥取家の土橋さんにプレゼントした切り出しで、携帯で撮ったので鮮明ではありません。
初めは切り刃と裏を除いて、がさがさした焼き肌で、それを落とす所から出発しました。ペーパーや研磨剤で磨いていき、ガンブルーで染め、更に軽く磨きました。又、裏梳きも研ぎ目を消し、磨いてあります。(主に研ぎ最中と保管中の錆対策です)
粗砥(電着ダイヤ400/1000と240番)から人造中砥、天然中砥、巣板・合砥・カミソリ砥で仕上げました。研ぎ肌の見本も兼ねて、完成時より、やや鋭角に研いであります。
最後の2枚は、数ヶ月前に錆や刃毀れが酷かったので、ほぼ取れるまで修正の研ぎを加えた時の物です。
新品から、いきなり完全平面の鏡面仕上げを求めると、刃先が出てからも更に研ぎ下ろしていかないと均一な面が出ないので、勿体ない事になります。普通は、使いながら研ぎ直す度に平面度を上げていくのが望ましいでしょう。それまでは霞仕上げで追い込んでおいて、いよいよ整ってからは勇躍次の段階へ。と言う具合です。純然たる観賞用で無い限りは、研ぎ費用の面からも、刃物の寿命からも、その方がお勧めです。
購入時の状態
人造 中研
人造 中仕上げ
人造 中仕上げ(細かめ)
人造 仕上げ
天然 巣板
天然 巣板(細かめ)
天然 合砥
天然 カミソリ砥
初めから面が出ている刃物は少ないものです。多くは、切り刃(勿論、刃先も含めて)を任意の形に再構築する必要があります。
今回は、ホームセンターで手に入れた普及品の切り出しを大まかに面が出るまでの経過を撮ってみました。砥石は、電着ダイヤや240番からキングデラックス・キングハイパー、過去の天然砥石配合人造砥石の対馬名倉バージョン・巣板バージョン、巣板・合砥、カミソリ砥と、12種類を使い、6時間ほど掛かりました。
実質1000円程の切り出しでしたが、案外組織は細かく、錆びも出にくい、切れ味の良い製品で、特に長切れを異常に求めなければ、研ぎ肌の美しさも含めて、十分な仕上がりでした。
問題は、値段からは想像出来ない程の、研ぎに対しての応えてくれ具合では無く、その本体価格を遙かに上回る事になる研ぎの費用をどう捉えるかでしょう。確かに吊しの状態とは比較にならない面精度、美しさと錆びにくさを併せ持つ切り刃、より繊細な刃先がもたらす滑らかな切れ味は意味のあるものです。
その価値を認め、その違いを求める人には納得して頂けると思います。しかし、普通は高価な刃物には拘りの研ぎが相応しく、そうで無いものには研ぎもそれなりになるのでしょう。とは言え、一人の道具好き、特に刃物好きとしては、どんな物でもより綺麗に、より性能を引き出してやりたくなってしまいます。
この、確か梅鉢龍馬といった切り出しも、一本は研ぎの見本とプレゼントを兼ねて知人の元に贈り、もう一本は自分の雑用にと購入しましたが、予想以上に研ぎに応えてくれるのが分かると、やはり手荒くは扱えなくなりそうです。
砥石の欠片も様々な色や形が有り、見ていて飽きません。元々石は宝石から化石、只の石まで好きなもので、ついつい身近に飾りたくなってしまいます。
研ぎ屋むらかみブログ始めます。
研いだ包丁のビフォーアフターなどを載せていきます。