







刃部 アップ

表 刃先拡大画像 200倍

裏 刃先拡大画像 200倍

三重県松阪の月山さんと共に、新潟県三条の日野浦さんの所に鍛冶体験で切り出しを作りに行った時のものです。
かなり以前から作品を買いに、ほぼ毎年の様に刃物祭りに行っていましたが、工房まで行く事はなかなか無いだろうと思っていました。しかし、鋼の仕上がりでは最も自分の好みの刃物を作っているところで、直接指導を受けながら体験させて貰えたのはとても有り難い経験でした。
実際の製造工程と、逐一同じとは行かないまでも、かなり正確な手順と諸注意を守って進めたので、出来上がった切り出しは製品レベルに近い仕上がりでした。僅かに焼き戻しでもたついたからか硬度はやや甘いかなと言う印象ながらも、切れ味と粘り・研ぎ肌の精細な仕上がりは充分実用に耐えうる以上のものでした。
少し以前の研ぎの約200倍の拡大画像でも、まずまず均質な研ぎ肌と刃先で、研ぎ進んだ最近は更に安定しているようです。これなら司作に準じる出来と言っても過言ではないなと喜んでいます。
購入時の状態

人造 中研

人造 中仕上げ

人造 中仕上げ(細かめ)

人造 仕上げ

天然 巣板

天然 巣板(細かめ)

天然 合砥

天然 カミソリ砥

初めから面が出ている刃物は少ないものです。多くは、切り刃(勿論、刃先も含めて)を任意の形に再構築する必要があります。
今回は、ホームセンターで手に入れた普及品の切り出しを大まかに面が出るまでの経過を撮ってみました。砥石は、電着ダイヤや240番からキングデラックス・キングハイパー、過去の天然砥石配合人造砥石の対馬名倉バージョン・巣板バージョン、巣板・合砥、カミソリ砥と、12種類を使い、6時間ほど掛かりました。
実質1000円程の切り出しでしたが、案外組織は細かく、錆びも出にくい、切れ味の良い製品で、特に長切れを異常に求めなければ、研ぎ肌の美しさも含めて、十分な仕上がりでした。
問題は、値段からは想像出来ない程の、研ぎに対しての応えてくれ具合では無く、その本体価格を遙かに上回る事になる研ぎの費用をどう捉えるかでしょう。確かに吊しの状態とは比較にならない面精度、美しさと錆びにくさを併せ持つ切り刃、より繊細な刃先がもたらす滑らかな切れ味は意味のあるものです。
その価値を認め、その違いを求める人には納得して頂けると思います。しかし、普通は高価な刃物には拘りの研ぎが相応しく、そうで無いものには研ぎもそれなりになるのでしょう。とは言え、一人の道具好き、特に刃物好きとしては、どんな物でもより綺麗に、より性能を引き出してやりたくなってしまいます。
この、確か梅鉢龍馬といった切り出しも、一本は研ぎの見本とプレゼントを兼ねて知人の元に贈り、もう一本は自分の雑用にと購入しましたが、予想以上に研ぎに応えてくれるのが分かると、やはり手荒くは扱えなくなりそうです。
研いだ包丁のビフォーアフターなどを載せていきます。