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亀岡でのイベントなど

 

近い将来、京都府亀岡市に天然砥石館(仮)がオープンする事を目指し、準備やそれに関連するイベントが進められています。

その一環で、八月二十日には砥石山探検隊と銘打ち、主たる対象を夏休み中の子供とした催しが行われました。

天然砥石の簡略な「採集・加工・可能ならば試し研ぎ迄」を体験して貰い、貴重な経験を通して地域の伝統産業・隠れた特産品に目を向け、理解を深めて欲しいとの狙いでした。

様々な層に御参加頂きましたが幸い大過無く、先ず先ず好評の内に終了出来ました。以下の写真は二日前の最終準備段階と、当日の開場直前の物です。

 

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看板と、予備で用意した砥石の原石(青砥・丸尾山巣板・大谷山軟口の薄物)

 

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砥石の加工用ハンマーや、貼り付けて台にする木材切断用鋸・小西さん御提供の混合接着剤など

 

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展示用・試し研ぎ用の砥石達。合砥から、現在流通がほぼ途絶えている中砥・荒砥まで

 

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専用の木製とプラ製の研ぎ台

 

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未だ仮設なので給水などの不安も有りましたが、十分に役に立ってくれました。

 

会場は当時、森の動植物解説など、以前の内装やセットのジオラマなどが変更されないままでの機材や砥石の搬入となりましたが、それなりに問題無く使用でき、また視覚的な違和感も最小限に留められたのではと思います。

 

 

 

 

あと、結構前から訪問を重ねて選別し、取り置きして貰っていた砥石を先日、持ち帰りました。

 

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二ヶ月ほど前に砥取家の次男氏から提供して頂いていた千枚。手持ちの予備と言うよりは在庫としての持ち帰りです。

質は中庸かやや硬めで、模様からも若干八枚っぽい千枚ですね。

 

 

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此方は、二週間ほど前に説明を受けた八枚。層の成りにやや難が有るので、ホームページに載せずに商品棚に置かれて居たとの事。自分で確認した所、事前に予見出来る症状は対処可能で有り、それを踏まえた値付けが妥当であると判断し、購入しました。

上の千枚とは逆で、軟らか目で取っつき易い、珍しく千枚っぽい八枚です。

 

 

 

 

因みに、今回の八枚には早速活躍して貰いました。研ぎ見本として置かれている 切り出しに、少々錆と欠けが目立ってきたので何回目かの研ぎ直しに使用しましたが、期待通りでした。

シャプトンの1000番から但馬砥、白巣板、敷内曇り、卵色巣板、千枚(手持ち)・八枚(今回の)、大谷山戸前浅黄の順で仕上げました。裏は、錆落としでやや苦戦しましたので千枚で大まかに。

 

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この他にも、展示用や体験用の刃物を研ぐ事になりそうですが、目下の心配は十月二十二・二十三日の御披露目イベントの後、暫く工事が続きそうですので、仮設でも一部展示・体験が可能な場所が提供出来ればと期待しています。

 

 

あ、それと少し前にイベント用のチラシ?かリーフレットに載せるスタッフの近影が要るとかで写真を一斉に撮られて来ました。

カメラ目線でニッコリ笑えと言われて頑張り、其れなりに出来たと思いますが多分人生初の成功例かと。しかし結局、使われなかったりする落ちも有り得るかも知れませんが。

 

 

 

出汁パック作りと業務連絡

 

以前、ボンドで有名な小西様に頂いていた鰹節を削り、パックの上で冷凍保存しました。

 

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画像には上げていませんが、この場合は殆ど一本丸ごと削るので、削り器の刃は途中で研ぐ必要が無い様に段刃にしてあります。鋼材は青紙一号でかなり硬い仕上がりですがそれでも、使用後は本枯れ節の攻撃により欠けや摩耗が避けられず、次回そのままでは使えません。佐伯砥(但馬砥でした)から研ぎ直します。

 

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それに合わせて、自前の俎板と両親の家の俎板を削ったままにしていた鉋の刃も研ぎました。此方はHAP40が使用鋼材です。青紙の地金が錬鉄なのに対して極軟鋼地金ですが、研ぎ難くて困る程ではありません。仕立てが裏出し不要である点は有り難いです。同じく佐伯砥(但馬砥でしたね)から研ぎ直します。

 

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以降も同様に、巣板⇒戸前⇒千枚⇒若狭の戸前

 

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地金に研ぎ斑は有りますが、実用では問題無い範囲に収まったので良しとします。

 

 

 

それと以前から打診を受けていた話ですが、或る展示館の設営と運営に協力する事が決まりそうな運びとなりました。もし本決まりとなれば、秋にはオープンするその施設に週三日ほど通う事になります。研ぎの御依頼を頂いた場合でも、その日数分前後は御待ち頂かねば成らないかも知れません。その際は御理解の程、宜しくお願い致します。

そこでの展示や設えについて、最近では幾つか候補を挙げて電話や書面で関係者に伝えているのですが、既出の体験コーナー案の一つに鰹節削り器を使うと云うのが有りました。普段は余り鉋刃を研ぐ機会が有る訳では無いですが、今回記事に上げた内容も活きてくるかも知れません。

他にも私の展示案が通れば、結構な数の切り出しを研がねば成らないかも知れず、其方の方が大変そうですが。規模は小さくても、過去に類を見ないと言うか有りそうで無かった内容ですので、遣り甲斐を感じます。人員や予算も潤沢とはいきませんが、出来る限りのアイデアと工夫で来訪者に喜ばれる展示館を目指したいと思います。

 

 


	

追加でステンレスペティの調理雑感

 

前回は、小なりとは言え炭素鋼の和包丁でのテストでしたので、今回はステンレスペティでの人造1000番と8000番による更に微妙な「使い心地」程度の記述です。

シャプトンの1000で仕上げたVG10のペティで食材を切り、然る後にシャプトン2000からキングの8000で仕上げて同様の作業をこなし、使い勝手の感想だけ書いてみます。

 

 

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1000番仕上げ

 

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刃先

 

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刃先拡大画像

 

 

使用食材

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ベーコン切り落とし

 

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ベーコン切れ端

 

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生節

 

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研ぎ分けて食材画像の残り半分を切りました。

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8000番仕上げ

 

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刃先

 

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刃先拡大画像

 

 

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スライスして、生節と合わせてマリネみたいに。

 

 

脂の付着で切れが落ちる。特に仕上げ砥まで掛けた場合は中砥までよりも切れ止み易い等と聞く事が有ります。自分の経験では、変な例ですが左久作の大小刀(大きいのか小さいのか?兎も角切り出しですね)で性能を見る為に、てっちゃん(シマチョウでしたか)その他のホルモンの下処理として余分な脂身を切り落とし乍ら切り分けたりしましたが、特に邪魔になりませんでした。因みに大谷山のカミソリ砥仕上げでした。流石に、数ミリ四方の脂肪塊が複数付着したら拭き取りながらですが、それはどんな刃物でも避けられないでしょう。

今回は、少ないですがベーコンをVG10のペティで切り比べましたがやはり、影響が出る程では無かった様です。しかし、1000のザラザラ感は明確な違いとして分かりました。その割りに切られた食材の外見は、加工食品と言う事も有ってか肉眼的に大きな差異は無さそうです。只、切り進んで脂身から赤身に移行した感触や、食材を切り終えて刃先が俎板に接触した感覚が掴み易いのは8000でした。

生節は、前回も少し気になった8000のキュキュッとへばりつく影響からか、薄切りでは身が割れる傾向が見られました。此には時間経過で温度が上昇したり、頭寄りと尻尾寄りの身質も関係している可能性も有りますが。まあ、実験の為の実験では無く調理のついでの試し切りレベルですので、飽くまで参考例ですね。

 

 

 

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前回の重ね煮を水で伸ばして炒めたベーコンを投入。スープにしました。

 

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冷凍保存していた餃子のタネを解凍、ジャガイモと上のスープも加えてカレーに。

 

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近所の豆腐の旨い店から田舎豆腐を購入して一旦茹でてありました。それを切り分けてグリルで焼いて醤油の実で食べます。醤油の実は小鮎様からの頂き物ですが、これはかなり合うと思っています。

切り分けた切り落としベーコンは、軽く茹でて翌日のあっさり目のベーコンエッグにします。

 

 

過去・今回の総評としては、対象や条件次第では不確定要素が多く、仕上げ砥を使った方が全てに於いて勝るとは断定出来ない物の、場合に依っては中砥仕上げが有利かも知れない相当限定的な当該作業の可能性に配慮して、其方を選択すると言うのは、合理的な疑問が残るのでは無いでしょうか。

更に、味や香りについても同様に多くの場合で仕上げ砥石の使用による優位が認められます。 少なくとも、食材を綺麗に・小さく・薄く切る必要が有る場合、例えば今回の玉葱のスライスなどは仕上げ砥を使わない条件では、使用者に余分な負担が掛かったり時間を要したりしそうです。実際自分ではそうでした。

あと、二回のテストを通じて一つ考えたのは、天然に比べて人造は角度に依って滑りがちな理由として研ぎ目がハッキリ付きすぎではないかと言う事です。それに対して天然は砥粒が深い傷を付け難い上に、泥が間に入って複雑な動きをし、傷を薄める働きも有るので研ぎ目が一方向の明確な状態と違って多方向に浅く付いているのでは無いか。それで切り進める際も押し・引き含め、多様な方向に対応してくれると考えればある程度納得が行きます。

従って、料理で使う刃物としては基本的には仕上げ砥、出来れば天然の相性の良い物を使い、限られた特殊な場合は仕様を変更する。若しくは其れ用に別の刃物を用意するのが望ましい気がします。つまり生節を崩したくなければ、刃が薄くて幅も狭い包丁の方が圧倒的に有利な訳ですし。そこまで包丁を増やせないけれど対応したいならば研ぎで刃物の性格を変える事になるのでしょう。

 

 

砥石の違いによる調理への影響

 

時折、話題に上るネタの一つに、どんな砥石で仕上げた包丁が調理に向くのか。というのが有ります。自分としては、過去から半ば意識せずに仕上げ砥を用いてきたので、そんな事で何故意見が分かれるのか不思議に思っていた程です。しかし、厳然として中砥派が存在する様です。曰く、切れが長く持つし食材に対して滑らないので作業が速いとか。

そこで、改めて代表的な中砥であるキングデラックス1000と、天然仕上げ砥で研ぎ分けた包丁を俎上に上げ、比較してみる事にしました。まあ、半分は以前から気になっていた、無くした柳の鞘の黒檀ピンを買いに行ったついでに購入した皮むきの、本刃付け方々試してみよう。程度の思いつきです。

先ずは新品の状態から

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GC240番で切り刃を均します。

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お待ちかねのキングデラックス1000番です。刃先は普通の糸引(大きめ)。

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一応の仕上がり

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刃先の拡大画像。

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使用食材その1

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ストウブのオーバルで、重ね煮みたいな。この後、研ぎを変えて刻み、半分追加。

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使用食材その2

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ダッチオーブンで餃子を。

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使用後の状態

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刃先拡大画像

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研ぎ上がりから存在していたギザギザ(大きな研ぎ目)が残存していると言うよりは、拡大再生産されている様にも見えます。

 

 

巣板で刃先を整え、中山の黄色いので仕上げます。刃先は普通の糸引(大きめ)。

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刃先拡大画像

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同一の食材を、ほぼ同量刻んだ使用後の状態です。掛かりが鋭く、切り抜けは軽い。しかし、一定量使用後は徐々に刃先の摩耗を感じ出す。

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刃先拡大画像

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刃先最先端が少し摩耗して見えます。

 

此だけでは、天然と人造の違いも加味されるのでキングの8000番で研いだ刃先も少し比較します。(他にも、切り刃が整って来ている為に抵抗が減少している可能性も有るので。)下画像は、上画像の状態から糸引きのみ研ぎました。刃先は普通の糸引(大きめ)。

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刃先拡大画像

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使用後の刃先拡大画像

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天然仕上げに比べ、使用量は数分の1にも関わらず、捲れが目立ちます。

 

画像は有りませんが、同じく切り刃が最も整っているこの状態で、再度キングの1000番でも試しました。結果はやはり、整って来た切り刃の効果で走りの抵抗は減っている物の、掛かりの荒さと食材の切断時の摩擦は気になりました。しかし、この状態では切られた食材の表面の荒れは比較的穏やかで、切り刃自体の貢献度は予想以上とも言える物でした。

 

 

 

此方は、以前天王寺の一心寺向かいの刃物店で購入した同様の物。かなり切り刃の形状を含めて研ぎ進めて有ります。本来は野菜の皮を剥いたりが担当ですが、切れ良く小回りが利き、少量の食材なら此だけで調理を済ませる事もしばしば。

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下は、今回のサンプルになった包丁の最新の姿ですが、今後数回の研ぎを経て、上に近づいて行くでしょう。

 

 

 

ミニマムな包丁によるミニマムな実験でしたが、幾つか再確認出来た項目がありました。
① 仕上げ砥(天然・人造共に)は中砥に対して、初めに切れ込む際(掛かり)の鋭利さで優位。引き切り(走り)の間の抵抗が少なく、手応えが軽い。よって寧ろ作業は速くなる。

② 人造仕上げ砥は天然仕上げ砥に対して(少なくとも刃を当てる角度に依っては)滑る傾向があり、刃先の摩滅よりも捲れが出易い。

(後になって考えるに、基本的に人造砥石ではツルツルまで仕上げると滑り易い所を、研ぎ目が残っている場合は、其れが対象に掛かる角度で有る限りにおいては滑り難いだけかも知れません)

 

③ 刃先の仕上げが人造・天然の違いと同等以上に、特に走りに対しては切り刃の面構成(面の滑らかな繋がりと角度或いは厚みの効果的な変化)が重要。

(④ 人造中砥の長切れする感触は、大きなギザの先端が毀れても元々の(食材・俎板に)引っかかるザラ付きに変化を感じ難い、或いはギザが剥離する際に新たなギザを発生させるので以下同文と考えられるのではないか。)

 

こんな感想を得た実験でした。俎板にも依るのでしょうか、キンデラで良く切れる・刃持ちが良いとの意見を持つ方は、どんな研ぎ方・切り方をされているのか・・・分からないので如何ともし難いですが、余程上手く砥石や包丁を使い熟しているとか?逆に仕上げ砥が活かせていないとか?

ですが間違いなく、今後の人生で人造中砥仕上げを選んで調理に使う事は無さそうです。私の技術では天然仕上げ砥石でないと、自らが望む性能が出せない様です。

 

 

 

最後は余談になりますが、今回の包丁を買う際に刃物店で出た話題の一つに、ある共通の知人が研いだ包丁を、信用出来る親しい寿司店に試して貰いに行ったと言うのが有りました。それなら今度行く時には自分の包丁もと思い、たまに通っているその寿司店に、本日持参した柳を僅かですがテストして貰って来ました。

 

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結果は、使える。此だけ切れれば御の字だと言う事でした。自分のより切れるかも、とも。私が魚やそれ以外も含めて、テストをしつつ気付いた問題点には対策を施した現在の仕様は、余程ピーキーな要求でも無い限り問題が出ないのは分かっていました。

しかし敢えて頼んだのは此の柳が、手持ちの中では最も刃先までの厚さが残るきつめのハマグリだったからです。とても欠けやすいので、そんな仕立てになっては居ますが使用に於いて問題無しと判断した結論を、追認して貰うのが目的でした。

 

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つまり、此で問題無ければ他の包丁には心配が無くなります。そしてテストをしてくれる料理人は、現在は其れだけでは無いものの、元来は本焼きのベタ研ぎを好む、切れに拘る店主です。その人に、切れに不満は無いとの言葉を頂けた事は大きいです。しっかりと正確に角度が出ていれば、刃先まで極端に薄く厚みを抜く必要性は低い。

勿論、仕事の内容や好みに依っては一概に言えませんが角度の変化と切り刃の面構成により、上記の店主にも認められる切れは出せた訳です。事実、出刃なら此の刃付けで丁度なんだが。とも付け加えられましたので、刃持ちと切れの両立と言う意味から、「頑丈さと長切れを伴いながらも良い切れ味」との私の理想を図らずも体現してくれた、少々駄々っ子の柳には感謝でした。あと、今日も旨いネタで寿司を握って頂き、有難う御座いました。

 

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府下からの研ぎの御依頼

 

大阪府下のY様より、研ぎを御依頼頂きました。包丁はミソノの炭素鋼です(刻印にはスウエーデン鋼とあります)。切れ味への拘りが感じられますね。

ある程度、錆が出ていますが新品状態から磨かずの使用であれば、かなり優秀なレベルだと思われます。

 

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刃先も酷い損耗は見られず、全く切れない状態ではありません。しかし、刃体の厚みが綺麗にテーパーになっている割りに、切り抜けがもう一つ。

 

 

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先ずは人造の1000番で、小さな刃毀れ(欠けと捲れ)を取りながら研ぐ範囲を少々広げ、緩いハマグリに。その後、耐水ペーパーの二段階(1000番・2000番)と研磨剤三段階で錆・汚れを落としておきます。

 

 

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白巣板(サラサラ下りる)で研ぎ目を消しながら、刃先の角度を切っ先に向けて徐々に鋭角に研いで行きます。

 

 

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敷内曇り(砥粒の目が立っていて細かい)で更に追い込み・・・

 

 

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千枚に繋ぎます。

 

 

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最終仕上げは浅葱で。左上のは共名倉に使用した中山の黄色いのです。

 

 

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鋼の包丁を御使用との事で、つい応援したくなり通常よりも磨きを入念に行いました。磨きその物の御依頼では無かったので完全ではありませんが(そもそも拙い手作業でもあります)。水を弾き、汚れを取り易くする事で錆や変色を遠ざけられるからです。又、それで切られた材料の味にも好影響を与えます。

今後も、使用後にクリームクレンザーを御使用になる事で、ほぼ同状態の維持が可能でしょう。(怪我防止の為に俎板等の上に包丁を安置して、キッチンペーパー・ティッシュ・布に付けて磨いて下さい)

 

確認画像では了承を頂けましたので、明日にも御返送致しますが、実際の御使用に於いても使い勝手が改善されている事を願っております。Y様、この度は研ぎの御依頼、並びにブログ掲載への御協力を頂き有難う御座いました。

 

 

昨年同様、和食の祭典へ

 

京都の歌舞練場での和食イベント、和食道に参加して来ました。昨年は月初めでしたが、今年は月末でした。

 

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亀岡まで向かい、砥取家の土橋さんと同行しました

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去年とほぼ同じ場所にブースを設置。今回は、参加する企業・店舗の名前が前回より有名処が多くなっていた様です。

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砥石の展示。あと来場者にトマトや人参(未使用でしたが)を切り比べて、包丁の違い・研いだ石による違いを確認して貰いました。

炭素鋼とステンレスの牛刀を千枚で研いだ物、ステンレスの三徳をキングの8000番で研いだ物を使ってのテストでしたが、記憶している限り全ての方が違いを認識された様子でした。

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当日は研ぎ指導・解説役として、一流の料理人の協力を得られました。調理の現場で培われた具体的なアドバイスや研ぎの手本を享受でき、来場者の方々には貴重な体験だったのではないでしょうか。

御本人とは、砥取家で数回御一緒したり、土橋さんと食事に伺わせて頂いた事もある間柄で、安心して相互に役割を果たせたと思います。

 

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最年少は三~四歳の女の子から、御年配の主婦まで研ぎを体験されたり研ぎ指導を受けられたりしましたが、初めて研いだ中では前述の女の子が最も筋が良かったかも知れません。

不要な力みや恐れも無く、一定の角度と速度で身体を操作できる素質と、指示を実行しようとする意識、相手の動きを自分で再現する吸収力に才能を感じました。特に直前にトライしていた外国の少年(六~七歳?)が速度・角度・指示した動作が不安定、且つ時間経過で飽きたか成功の実感を得られない故か、投げ遣りになって行ったのとは好対照で民族性か男女差か?と興味深かったです。

あ、直上の画像で研いでいる方はその少年ではないです。明るくて気さく、色々と興味を持って話し掛けて頂き、楽しくコミュニケーションが取れました。リスニングに追いつかない片言会話なので、相手が不完全燃焼気味なのはいつも通りでしたが。

 

 

 

お立ち寄り頂いた中にT様夫妻がいらっしゃって、砥石や研ぎに付いてのお話しや、私が研いだ包丁を御覧頂く機会もありました。

後日、千枚のコッパを選別する依頼をメールにて頂きましたので、此処に参考画像として載せてみます。

 

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表です

 

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裏です

 

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切り出しで試し研ぎ

 

メールでも御説明しましたが、御依頼後の最初の亀岡行き(会合目的)で偶然、待ち時間の一瞥で加工場から見つけました。裏表とも面付けされていなかったので、持ち帰って電着ダイヤで面を付け、試し研ぎしました。千枚にしては、やや硬さと細かさが控え目かなと感じましたが、鉄を吸わせる目的で五~六回研いでは置きを繰り返す内に、千枚として標準的な反応になりました。

大きさは小さ目のレーザー型程度、裏・砥面もやや不均一・不安定ですが、千枚は出るのが不定期な点・極稀な程に短い期間で見つかった点を考慮して判断して頂く事としました。

大きさ・形で、目的とお好みに合いますか分かりませんが、御考慮の上で良いとなれば御連絡お願い致します。因みに、御提示の予算の75パーセントの価格です。勿論、今回のは見送って、次回いつか出るであろう石を御待ち頂いても差し支えありません。

 

 

初のヨーロッパ

 

以前からの予定通り、一週間程オーストリアに行ってきました。現地のレストランから駐日オーストリア大使館を通じて、日本研ぎ文化振興協会に依頼があり、私がイベントでのパフォーマンスを任されました。

出発前から知人(風景・建築好き)に、現地の画像を見せろと言われていましたので先ずは、ウィーンに到着してからのほぼ順番通りに。

 

空港です

離陸(成田)

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着陸(ウィーン)

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宿舎になったホテル。傍には国連のビルも。階段や室内には絵画が。

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道路の向かい側から。中央の車線と側道でちょっと御堂筋風に感じます。人通りを含めて交通量はかなり控えめですが。

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真っ直ぐ行くと川に出ます

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徒歩20から30分で、ドナウ川です。車道と段差を付けて地下鉄と歩道(自転車道併設)が一体になった橋が架かっており、中洲を挟んで向こう岸まで渡れます。橋の中ほどには地下鉄の駅があります。ホテルからの最寄り駅は、橋の手前に在るもう一つです。

 

手前の川岸。鳥も四種類ほど居ました。白鳥と真鴨、ユリカモメみたいな鳥、烏と鳩の間みたいなサイズとカラーリング(白・グレイ・黒)の鳥。

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中洲(左側)に下りるスロープ。自転車、ランニングの人がちらほら。

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対岸の教会と船着場。ドナウの始まりから終わりまでのクルーズや、もっと短距離・短時間のツアーもあるそうです。

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イベントに先立ち、系列の別レストランで研ぎの指導を。

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内部は色々な設えで、此処は最も明るいスペース。試食を兼ねて食事を頂きます。

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その後、厨房にて研ぎの説明と実演。一番切れない包丁を、と言うとかなり丸っ刃になり、裏からも角度の付いてしまっている柳を差し出されました。一応、修復する方向で研ぎ始めましたが、裏押しがまともに出来ない内は、若干両刃的に角度付きで返りを取らざるを得ないと判断しました。シェフに研ぎ上げた包丁で実際にサーモンを捌いて貰いましたが、頭を落として三枚にし、腹膜を梳き取る動きは上々の様子でした。途中では吟味する表情でしたが、最後に笑顔で良かったです。

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次の日は、シュテファンなんとかで待ち合わせです。地下鉄の駅から上がると待ち合わせの時間には早過ぎ、場所も判然としなかったので(どれが約束した教会か)、少し見晴らしの良い縁石に座って待つ間、周辺の写真を。

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ツヴィリングやストウブなど鋳鉄鍋の店も

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教会の中。神様は一人だけれど、聖人が夫々、ジャンルを分担して加護を与えるといった説明を聞いて、日光月光両菩薩みたいだなと思ったり。

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中心部の 広場周辺。

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端っこでハープを弾いていたり。ラピュタのエンディングだったような。

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OECDのヘッドクォーター等が入っているとの事。

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像の向こうは国会的な建物だったかと。それ以外の役所(財務省や内務省?)も城・宮殿式のデザインみたいです。

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広場から少し離れると美術史博物館と、その向かいに瓜二つの自然史博物館が並んで建っています。

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内部(展示室以外)です

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帰りに日が傾き

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彼が今回、通訳とガイドを引き受けてくれたヨハネスさん。日本の文化や宗教にも詳しく、漢字の読み書きも出来る程(私の走り書きのメモも読めたのには驚き)。一時期、日本に居た事も在り日本人の観光案内は御手の物といった風情。

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主要な建築物や有名な通りは勿論、裏通りの老舗や裏路地の地元民御用達の名店も網羅。

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ヨーロッパでペストが流行した時期に、収束した事を感謝して作られた物だそうです。

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ここの左側には呼び込みの(?)お父さんが居て、「コンチェルト、七時、どう?」と日本語で誘ってくれます。

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昔から王侯貴族に金の装飾品を納めていたとか

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サザビーみたいなオークションの会社を通り抜け。

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カフェにも 何軒か連れて行ってくれました。予想以上に御菓子が充実しており、中には一階の売り場がケーキ屋にしか見えない店も。それもあって、観光客には入り難いのも頷けます。実際には二階は落ち着いて飲食できる調度になっていました。ケーキ類は基本的に、街の伝統的な物と店の名物、そして季節の物が並んでいる様です。

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ザッハトルテ(と同系統)の想定を上回る甘さには驚嘆。

 

 

唯一、自分一人で入ったのはザハホテル併設のカフェらしかったのですが、兎に角メニューに日本語の表記が混じっていたので飛び込みました。注文したのはウィナーシュニッツェルとかいうウィーン風カツレツです。団扇みたいな広くて薄い奴に苔桃のジャムの小瓶、レモンの半割りが付いてきました。それらの御蔭と、酸味を効かせたジャガイモも相俟って、さっぱりと食べられました。一緒に頼んだのはアールグレイです。

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オペラ座で行なわれたドンキホーテのバレエも、運良く予約して貰えたので鑑賞する事が出来ました。先の腹ごしらえは此の為です。何と三幕です。

しかし二幕目から到着した隣席のお姉さんに、三幕目との間の休憩中に何処から来たのか、日本なら宮崎駿を知ってるか、どの作品が面白いか教えろ、など聞かれたので焦りつつも片言の英語のみで独断と偏見により答えておきました。

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いよいよイベント会場のドッツレストラン(十周年記念パーティ用内装)で準備です。話してみると当初の話と色々異なる状況に困惑しつつも、代用や流用で何とか整えて開場を待ちます。

駐オーストリア副大使のテラオカさん(名刺が横文字のみ) と名刺交換と挨拶、イベントのオーガナイザーの方と打ち合わせ等している内に騒がしくなり、そのまま始まりに。

御蔭で、会場やゲストなどを撮影する余裕も無く、画像は以下だけです。(イベント会社からの画像を大使館が転送してくれたので、二枚追加します。その後、動画も送られて来ましたが、自分では全体どころか周囲も余り意識していなかったので可也、衝撃的な映像でした。こんな事になっていたとは)

 

 

 

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現場のレストランのシェフや、ゲストの包丁くらいは研ぎましょうと言っておいたのですが、到着してみると2ダース近い包丁が様々なレストランの料理人から届いていました。

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オーガナイザーその他からは、ある程度研いだら酒を片手に談笑でもしてれば良いと言われましたがそんな気分にもなれず、結局8時間くらいのイベント中に全て研ぎ上げて来ました。途中、何度かテレビのクルーが撮影に来ますが、只でも余分な照明が二倍になって厄介な上、レポーターが覚束ない手つきで包丁をカメラに見せるので気が気じゃ無くなります。

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それ以外にも、トマトやキュウリを「ヨハネスさんの研いで居ないステンレス包丁・自分が研いで持って行ったステンレス包丁・司作の三徳」で切り分けて試食させたり希望者には試し切りさせたりしました。切れの違いと共に、切られた食材の味の違いを確認できたとのコメントも結構頂きました。ですので、今回包丁は一本当たり15分から20分位で研いで居ました。普通は40分前後ですので、完全な形状や傷消しは諦めて80点狙いで捌きました。そして最後には、我が通訳殿の包丁も。

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柳で新聞を切ったりビクトリノックスのスーベニアでビニールを切ったりして、喜ぶ人やナイフを欲しがる人(ナイフマニアだかコレクターらしき人)も。結局、まずまずの割合の人に注目されたり、数組のゲストにはかなり食い付いて貰えたので良かったと思います。只、これまで余り切れない包丁しか使ってこなかったシェフ達には、よく切れると喜ばれるか手を切ったと恨まれるかの二つに一つでしょうか。しかし、切れに何らかの問題があるからと預けてくれていたのだから、喜んでくれていると信じたいですね。それでこそ、オーストリアまで出掛けて連続八時間研いだ甲斐があると言う物です。

因みに、夜中?四時辺りでイベントが終わり、此方も後片付けを終えたのは五時過ぎ。ホテルに着いたのは六時を回っていましたが、雑誌のインタビューは其の日の朝九時半です。ヨハネスさんとは二時間半後にロビーにて待ち合わせをし、シャワーの後一時間仮眠、再びタクシーでインタビュー場所のオフィスに移動しました。

此方も事前情報と違って相手は料理雑誌の取材に来たお姉さん三人。相手がシェフやオーナー的な人ではなかったので、普通にヨーロッパにおける和包丁の位置づけや日本の包丁の特徴や優位性に及ぼす要因など、聞かれるままに説明しました。

結果的に、テレビのニュースや新聞に取り上げられた事に加え、上記の料理雑誌でも記事になるとの事で、ヨハネスさんからは画像など手に入ればメールに付けて送ってやるとの事。しかし、今になって考えれば、雑誌の人と話していた時に発行されたら送って欲しいと言っておけば良かったですね。

今回のウィーン行きは、状況が悪くても(準備や設備が整っていない可能性を考慮)何とかなる様に、自分なりに手を打って向かいましたが、此方も急遽変更になった通訳兼ガイドのヨハネスさんの尽力に因る所が大でした。到着初日からホテルのロビーで熱心に打ち合わせに付き合ってくれ、話の理解も早く更に先まで読んで来る。私が研いでいる状況を通訳しながら基本的な研ぎの流れを理解し、イベント中も此方の動きのサポートもこなす。ガイドに至っては街の歴史や建築物の種類にも詳しい。バレエや絵画など芸術の造詣の深さも感じさせる奥行きのある人物でした。一緒に仕事をしても不満を感じさせないどころか性格も良く信用でき、頼れる男。彼との知己を得られたのは最大の収穫かも知れません。

ウィーンを離れる前日から、自分でも思っても見ないほど辛さを感じ驚きました。建物・街並みの綺麗さと人・車が多過ぎない環境、山河・自然の美しさと想像以上に食べ物が旨いのは当然あるでしょう。これらは自分の好みの範疇ですから。しかし、短時間の詰め込み教育的とはいえ、彼から案内された場所、聞かされた話しが幾らかでも具体的に身に染みたので愛着とまで言える感覚になったと思われます。ほぼ毎日、ドナウ川の川岸を散歩していたのが地味に堪えています。まあ、現地に居たときから薄々分かっていましたが・・・日本に居た時はこんなにウィーンにやられるとは、本当に思っても見ませんでした。

いつか再び訪れる機会を持てればと思います。それと同時に、遠からず日本を訪れるであろうヨハネスさんには、御世話になったお返しをと考えますが、関西にも詳しい彼には余り役立てないかもですね。其の分、多少専門分野という事で、包丁・砥石関係で貢献したいです。その頃には渡して来た小さな戸前と巣板を使いこなしているでしょうから、普通サイズの特選砥石やお勧めの包丁でも案内するとしましょう。

 

 

 

最後にお土産です。グラスはボヘミアガラス、焼き物の方は陶器と磁器の間くらいの感じです。どちらも伝統的な物ですが、グラスは三十年も前に母が欲しいと言っていましたのでこの機会にと。

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前祝?

 

前回の本焼きが北海道に届き、使用した際に鮪の脂の乗った筋入り部分が崩れず切れ、抜けも良かったので感激・感動との御返事を頂きました。御手持ちの合わせの方を上回ったそうで、一先ず安心しました。S様、加えて応援も頂き感謝致します。

 

そして夕刻、バイクで帰宅途中に何時もの和菓子店前で、若旦那と目が合いました。帰着後暫くして、何かを呉れるとの電話が。久し振りに店の常連の釣り師からのお裾分けとして、鯛を頂きました。これまで、イサキや太刀魚などはありましたが鯛は初だったかと思います。

 

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鱗を取って

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相出刃で三枚に。特に大きくなくても、頭を割るのは相変わらず難しいですね。あと、白子も入っていました。

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塩焼きです

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イベントでは、結構ちゃんと魚を捌く事も期待されている様子にて、直前に良い予行演習となりました。久々だと感覚が違いますね。現地では生食できる魚が手に入るか不明らしいので、態々やる意味が在るかは分かりませんが、日本人が魚を捌くところを見たいと。料理人では無いので、その部分は気が引ける成り行きですが・・・。それよりも今は荷物の残り半分を詰めねばなりません。砥石が多いと、荷物の各重量制限がかなり厄介です。

 

若旦那には何時も有難う御座います。あと、飴も美味しかったです。出張に向けて此方も応援を頂きましたので、特に迷子にならいように気を付けて行って来ようと思います。

 

 

イベントの見通し

 

此処に来て、徐々に現地側でパフォーマンスとして求められている内容と、往復の足の情報が送られてきました。イベントではバックに音楽を流したり、派手な装束も期待されているそうです。

音楽についてはお好きにと返事しておきました。仲立ちをしてくれている国内担当の方は結構、当方を御理解いただいている様子にて、流石に必要以上の衣装までは・・・と宥めているとの由。逆に、時間帯の規定や持ち時間の指定は、かなり融通を利かして此方の提案を受けて貰えそうです。

当日は一連の研ぎ内容と切れの実演、其れを使った食材のカットと出来れば試食まで持って行ければと考えています。向こうで用意された包丁を研ぐ際に、各工程で段階的に切れが変化していく様子と、此方で用意した包丁の性能を見て欲しい所ですが、どうやら現地ウィーンの人はゆったり気質なのに派手好きらしいので、此方も人前でやった事の無い出し物を用意しましょうか。

と言っても、普段、牛刀やペティに親しんでいる地域では、和包丁では形状が違い過ぎて同条件ではなく分かり難いし、最新高級品・特別仕様(相当)では普段使いとの比較は難しいでしょう。となると、何処にでも在るペティで氷を数回削った後、切れを保ったまま紙を鋭く両断。とか位しか思いつかないですね。遠征予定に入れていなかった、日頃最も使用頻度の高い、雑用係りの古いペティにも働いて貰うとしましょう。

 

因みに、上記のテストをパスした後で研ぎ直した状態。

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京都でのイベント参加

 

去る二月一日は、京都の歌舞練場で行われたイベント、「和食道」に砥取家の土橋さん他、四名で参加してきました。

その一週間前に亀岡に行ったのは、本焼き用の砥石選別の他、この打ち合わせも兼ねての事でした。実は昨日、当日参加出来なかった月山さんが電話で様子を気にしていたので、これは業務連絡と報告の様な記事です(念の為に部分的に撮っていた画像が少しあるだけです)。

 

京都には昔からそこそこ行っていましたが、雪が積もっている状態は初めてだったかも知れません。ほぼ車中からの眺めだったとは言え、東寺の横を通る時には、塔の上にも綺麗に降り積もり、雪化粧と言うに相応しい光景でした。撮影しなかったのが悔やまれます。

下画像は、歌舞練場内に割り当てられた一角の背後、幕裏から見た庭です。

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ブースとしては、長さ1.8メートルのテーブルの横に、研ぎ台が二つ。テーブルには本・砥石・DVDを流すモニターです。

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研ぎ体験の他に、研ぎ上げた包丁でトマトと胡瓜を切って貰ったり、鋼とステンレスの鋼材の違いによる味の違いを体験して貰いました。

下画像は、元は刃体形状の研究に於いて、廉価な包丁の初期状態のサンプルとして購入した包丁ですが、今回、ステンレス製ヘンケルの洋三徳と対比させるべく鋼の和三徳として使用しました。

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ヘンケルは人造砥石、キングの8000番仕上げです。

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一枚目の画像で分かる方も多いと思いますが、切り刃が三段になっています。最初は極端ながら単純な三段構成かと見ていましたが、峰から刃先までツライチの研削に、鎬筋らしき物を作る為に切り刃中央から峰側1cm程がホローグラインド状になっています。そして仕上げにサンドブラストになっていました。

流石にその凹みを均す研ぎをすると2cm近く研ぎ下ろさねばならないので適当な所で切り上げました。他には、切っ先側三分の一の刃体がプロペラ状に捩れていた為、真っ先に刃線が整う程度には木槌にて修正。あれやこれやで、前々日に六時間掛かって許容範囲に納めたのが下の画像です(切り刃・刃先共に最終は白巣板仕上げ)。

形状的には色々難点が多い包丁でしたが、元から先へ厚みがテーパー状に抜けている事と並んで鋼の仕上がりについては、意外にと言うべきかそれだけにと言うべきか、かなり良かったです。少なくとも2~3倍の値段の包丁と遜色無い硬さ・粘り・切れを見せてくれました(偶々当たりだったのかも知れませんが)。

 

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平と鎬がはっきり構成されず、購入後に自分で研ぎ込む事で形成した包丁は、過去にもありました。これがその刃渡り三寸程の剥き物包丁です。しかし之はフラットな研削だったので、今回の物には驚きました。

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値段的に釣り合うであろう和・洋の三徳で味の違いを試して貰った結果ですが、やはり殆どの人が「鋼の方が味が濃い」或いは「甘みが強い」との感想でした。自分では、他に香りが強く長く感じるのですが、其処のところに言及する人は少ない印象を受けました。

もう一つ気になったのは、試し研ぎや研ぎの指導を求める層に於ける電動シャープナーの普及率です。完全に予想以上でしたが、まあ、こういった事に興味を持たれる人を対象にしたから当然かもしれません。そして或いは、それらが京セラ製だとすれば京都ならではなのかな、とも思いました。但し、殆どの方が使用している内に満足し切れなくなっている様子で、なればこその御来場。特に、あるカップルの男性側が、このイベントの目玉として我々のブースを楽しみにして下さっていたとの由、誠に有り難く感じました。

他に、今回行なった説明やデモンストレーションについては、こういった内容を講習・学校的な存在の下で習える機会が欲しいとの感想もありました。当日は僅かながらもそんな要望に副うことが出来たとすれば、大きなイベントに参加した1グループという立ち位置ではありましたが、やる意味は大きかったと思います。

 

 

 

おまけは、帰宅後に、気になっていた手持ちの包丁の手入れです。千枚による均し研ぎで本焼き柳の斑を消しました。ほぼ半鏡面になりましたが、その前段階で使用した砥石は、「丸尾山の白巣板」、「八ノ尾の八枚・巣板際大上」、「相岩谷の戸前・並砥」と思われる物、「菖蒲の合いさ」と思われる物で相性を探りつつ仕上げて行きました。

あと、ついでに久し振りに初期の司作三徳。最近の物とは刃金・地金の感触がやはり違っていて、改めて個性に合わせた扱いの必要性・面白さを感じました。こんな感覚も、一般の方の中に分かって貰える層が増えれば包丁を大事にしてくれる家庭も増えると思うのですが。

 

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