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昨日の天然砥石館

 

日曜は、地元の刀匠に御協力を頂き、簡略な鋼材を使用してでは有りますが鍛造・焼き入れから小刀作りの体験を開催しました。

 

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松炭です

 

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通常はコークスが一般的なのですが、温度管理がやり易い(普段は此れでしょうから)との事で高価な松炭を使って頂きました。

 

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先ずは手順の説明と、操作の御手本を提示です。

 

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三か所に設置した、鞴と火床での参加者の実践を指導。形状の修正が入り、焼き入れ(各自)と焼き戻し(刀匠が担当)の後。

 

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館内にて荒い刃付け。使用したのは小振りなベルトサンダー。

 

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数人の方は自ら拘りの形状を目指して奮闘。

 

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最後は御自身で砥石による研磨。

 

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荒砥から始めて

 

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中砥へ

 

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お子さんも、中々様になっていました。

 

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最後は当然、天然砥石ですね。

 

 

或る程度、焼き肌というか黒打ちの感じを残した方が良いかと、峰の方まではサンダーを掛けませんでした。どうしてもとなれば、後から砥石でも整形出来るからですが少し鈍角に成り勝ちだったかも知れません。

元から、低炭素の鋼材でしたので(鍛造効果で締まるけれど)焼き入れでの効果は期待薄でしたので、切り刃をもっと広げても良かった気もしますね。

ですが、自ら鞴を操作しつつ鍛造・焼き入れ・焼き戻しの場に立ち合い、それらの工程に関われる体験は貴重でしょうし、ましてや刀匠が監修とのおまけ付きです。体験者の方々は一様に充実していらっしゃったと御見受けしました。

もしも、更にハイレベルな体験を御希望の向きには先々、館長が計画している一泊二日の工程で、スウェーデン鋼の土置き焼き入れで本焼き刃物を作る体験の実現に御期待下さい。

 

 

今回、御参加下さった多くの皆様と、何時も御世話になっている亀岡在住の刀匠、中西さんには感謝申し上げます。有難う御座います。

 

 

 

 

 

今年の刃物祭り

 

昨日の土曜日は、岐阜県関市の刃物祭りに行って来ました。第50回だそうです。過去に出向いた際は、ほぼ例外無く二日目の日曜でしたが、今回は上野館長と共に一日目に。

 

 

アピセ関の賑わい。やはり初日は賑わいが少し違いますね。

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急遽遠征が決まったので、関に居た頃の先輩とは絡みが少なかったのは残念でしたが、当初の目的であった日野浦さんから刃物鋼の現状と今後の見通し、望まれる方向などに付いて忌憚の無い意見を拝聴出来たのは幸甚でした。

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更に終了間際には、嘗てナイフ塾として講義なされていた当時(20年ほど前)、聴講生として御世話になった尾上先生にも御挨拶する機会を得ました。高い見識に裏付けられた御意見は、往時を彷彿とさせるどころか弥益ほどで、失礼ながら老いて益々盛んな意気を感じました。永く後進の指導をと望むばかりです。

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途中では、これは料理イベントへに資する研究とは違いますが、私の行きつけの店へ案内し、共に昼食を摂りました。関東と関西の中間と言うべきか、特有の調理法で個性を感じさせる所が気に入っています。

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そして本日ですが、高野さんには武州合砥の試し研ぎ用を御持ち頂いたり、工藤さんからは展示用の大工道具を用意して頂いたりしました。今後も、道具類のコーディネートでは御世話になりそうです。

他にも道具館その他での、炭素鋼系道具類の保存法を教えて頂いたり、館長が入手した鉋刃の鑑別まで。

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一方の高野さんとは、色んな御持参の原石を見せて貰いつつ話しっぱなしで、画像を撮るのも忘れて楽しい一時を過ごさせて頂きました。

御二方には大変、有意義な一日とさせて頂き、有難う御座いました。先々も何かと頼らせて頂く場面が有るやも知れませんが、宜しくお願い致します。

 

 

 

 

 

最近の事柄

 

昨日の日曜は、ひと月ほど前の撮影時に漏れたシーンの撮影が有りました。実際に研いでいる場面の追加です。

前回は鶏肉や紙を切って見せるのが私の役割でしたが、確かに研ぎの場面が無ければ「まあまあ切るのが上手い人」で終わってしまうかも知れません。其の上、使っていたのが(番組の意向で)100均包丁と来ては更に微妙ですね。

「100均の包丁を研ぐのが上手い人」・「100均の包丁でも全然性能に不足は無い」と捉えられると、通常の包丁や上等な包丁の価値が伝わらない上に、私もそんな包丁を研いでいない様にも思われるかもと。

ですので、(前回は意図的に各種包丁を並べる場所を作ったのに続いて)今回は100均以外にも柳も砥いで置きました。まあ、柳その物も意向に沿った結果では有りますが、和包丁を混ぜるのは当方の意見を具申しての事です。

 

 

 

撮影時の画像は有りませんが、包丁と共に並べてやった砥石達です。砥取家の主力である丸尾山の中でも、最終仕上げに多用している千枚・八枚系統です。他にも3~4個、手元に有りますが特に千枚扱い出来る八枚を含んだシリーズという事で。

柳を研ぐのに使ったのは、手前の左から二つ目です。模様的には八枚で、判子も其の様になっています。しかし、千枚に近い仕上がりと砥ぎ感で、数年前に見つけて購入しました。出し惜しみシリーズでもあり、之まで数回のみの使用。

 

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下画像は、100均の研ぎシーンに使った御廟山です。赤系統に比べて柔らかいとは言え、そこは御廟山で微細な鋭い刃を付けてくれます。(と言っても、例外を除いて丸尾山や一本松よりは硬いです)

超仕上げとしては、鋭利な中で最も咬みつくタイプと思います。勿論、やわな素材でも返りが少なく綺麗な刃線を実現してくれるので今回、合わせて見た次第です。切る場面は無かったのですが。

 

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上の砥石二個(八枚・御廟山)と共に、下の包丁二本は撮影に使いましたので面直し・研ぎを施して次の活躍に備えます。

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今回の放送は前回と違って、朝の番組です。予定が変わらなければ、三日です。夜の番組よりは、やや長く出るみたいです。

 

 

 

他にも合間には、一番の常連様から送られて来た鰹節削り器の刃を研ぎ直したり

研ぎ前

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少し刃先に摩耗が

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研ぎ上がり。やはり、鉋は若狭仕上げに

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料理のイベントに向けての勉強第二段として、こんな所で

 

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こんなのを食べたりもしました。確かに勉強に成りますね。距離はまだまだ、詰められませんが。

 

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平日ですが亀岡に

 

本日は、亀岡に唯一の刀匠の方の所に伺って来ました。天然砥石館の上野館長の発案による、小刀作りイベントに向けた準備の一環としてです。

 

私が到着した時には、鍛造に用いる火床の作成中でした。

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次に、実際に参加者が作る小刀の見本と言うかサンプルを作って頂きました。

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赤めた丸棒を鍛造し、和風のデザインにて小刀の形に造形。既定の長さに切断後、焼き入れと焼き戻しを経て完成です。

 

 

 

 

すると、私も別にもう一本を作る事に。一応、聞いていた手順と注意事項を思い返しつつ作業の再現を試みました。

 

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幾度か、修正して頂きつつも何とか近い物が出来ました。

 

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その状態では、刃部の厚みが過ぎるのでベルトサンダーにて厚み取りと形状の微調整。

 

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削り終えた状態。

 

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焼き入れの瞬間。

 

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この状態は、ゴマはぜと言われたと思いますが、焼き入れに付いては偶然にも良い仕上がりだった様子。

 

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何か一文字をとの事でしたので、名前の一字を鏨で切って貰いました。後は砥石で刃先を整えれば完成です。

 

 

 

 

改めてイベントでの指導役を御願いして辞去した後、館長が最近把握した、近傍に在住である業界の纏め役さんへ御挨拶に。色々と話す中で、今後は出来れば協力を仰ぎたいとの旨を御伝えしました。

更には砥石を見せて頂いた上に、少しばかり分けて貰って来ました。

 

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奥の二つは館長選別。私は手持ちの物の予備を追加、といった風情の選別ですが、やはり天然は一点物なので活躍の場面は少しづつ違いが出そうです。

因みに、中央の中山の浅葱は平面の刃物向きでした。左の並砥は予想通りで、手持ちとほぼ同質。奥殿は、やや錆が出易い?のが予想外。最後は使ってみないと分からないのが、難しくも有り面白くも有りです。

 

 

 

 

 

最近の天然砥石館

 

最近の天然砥石館は、ある程度の興味を持ち、来館の機会を窺っていた層の方々の入りは落ち着いて来ていました。対して、二週間前に付近の道路脇に立てられた大き目の看板の効果か、ふらりと立ち寄る方々が増えて来ました。

そんな中、本日はイベント的に木材を自ら削ってマイ箸を作る機会を提供されている方々に活躍頂きました。各種大工道具類、作業台など自前で準備・設営をこなす御三方です。

 

トップバッターとなった、主婦の御二人の手元を画像に。

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そうこうして居ると、砥ぎ体験に御越しの御夫婦が其々、一本づつ研ぎ始められたので適宜アドバイスらしきコメントをしつつ、仕上がりのチェックを。

差し向かいで、仲睦まじい御様子。

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それとは別に、何かと御世話になっている刀剣研磨師の方が御子息と御来場。なんでも、夏休みの自由研究を兼ねて有る場所で手に入れた砥石を御持参との事。

上野館長が早速切ったり割ったりして吟味。其れなりの性能を持つ巣板らしいとの見解を得ました。私も同様の感想を持ちましたが、産する山とは認識されていない場所でも、砥石型珪質頁岩は出るのだなと思い知らされました。

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途中から最後の方まで賑わしてくれたのは、近隣住民のお孫さんと見られるトリオ。小学校低学年と、もっと低学年。そして入学前あたりとの事。

上に行くほど暴れん坊、いや元気一杯なのは個性なのか成長過程の相場なのか?それでも、砥石の面付け作業は各自それなりに楽しい様子です。

中でも一番下の子は一心不乱です。丁度の高さが無かったからかも知れませんが、椅子にも座らず没頭していました。他二人は合間に走ったり騒いだり。

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才能の片鱗を感じさせます

 

興味深かったのは、一人を除いて加工した当の砥石には余り興味が無く、持って帰ろうとしない所です。その一人も、最後に成ってやっと持ち帰ると。途中経過そのものが面白かったのでしょうか。

自分の子供の頃と比較しての違いは、時代によるのか男女差か、はたまた地域性か。周囲に豊かな自然が身近にあれば、価値の軽重・興味の有無・使い方など知識の多寡にも因るでしょうが、所謂都会の子供とは見ている物や受け取り方は一様では無いのでしょう。

ともあれ、本日は最近に無く濃い一日を過ごさせて頂きました。箸作り体験で御足労願った御三方を始め、来場下さった皆さんに感謝致します。有難う御座いました。此の後も砥石館をお楽しみの場として活用頂けましたら幸いです。

 

 

 

あ、以前に記載しました、砥取家その他を取材していたクルーに研ぎと切りの実演をした事に関連する情報です。8月18日放送の中で一瞬、私の砥いでいる所か切っている所かの手元が映るかもとの事。

使用したのは自分が半分程の工程を担当して作って来た菜切りです。もしそうなれば、新潟の日野浦刃物工房で迷惑を掛けたり世話になったりした埋め合わせの一部には成るかと喜んでいます。

丁寧に作られた包丁の価値や、入念に砥ぎ上げた切れの違いに付いて、日頃から説明時には使っていますのでクルーに披露した際には其れだけでも、義理を果たせたかと思っていましたが。

映像を使われるとしても、手付きや包丁のみらしいので願い通りです。技術や刃物が重要であり、私個人に付いての情報は大して意味を成さないと考えています。と言うか、そもそも恥ずかしいので丁度その位が望ましいです。

 

 

 

 

砥石を頂きました

 

砥取家の次男氏から、砥石を頂きました。去年と同様、誕生日にとの事ですが今回はちょっと早過ぎですね。でも、有難く活用させて頂きます。

 

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此れですが、八枚やら巣板際大上やら、種類としてははっきりしない雰囲気での試し研ぎを勧められ、その流れで私の下へ。

 

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サラサラ系の八枚と違い、ツルツル寄りですので千枚的な光り気味の仕上がり。

 

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角度を変えた画像でも其れが分かります。

 

 

 

後で思い至ったのは、数年前に購入した恐らく八の尾の八枚だった筈の此方。

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仕上がりが可成り近い感じです。多分、同系統の石ではと思います。

 

 

他にも親戚筋として

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此れも更に前に購入した物。下画像の左端は裏?の表情。元は其方が表とされていましたが、裏の面を出した折りに試した研ぎの結果が良く、逆転して使っています。

 

 

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近しい性質の砥石三種です。八の尾には、もう一つサンプルとして頂いた巣板際大上(水色と云うか浅葱色)が有ります。この山も、様々な種類の石が採れますが巣板際大上の予備をもう一つ、購入できる機会を心待ちにしています。

 

 

 

 

近々、月山さんから依頼の巣板選別の開始予定の所へ、講習受講者のK様から浅葱二種の御依頼が有りました。

天然砥石の魅力にハマったとの事で、御同慶の至りです。上記と併せて好適な質とサイズで狙いたいと思います。

かずかずけん様からの分は、手持ちのデッドストックから選別完了していますので遠からず月山さんの所へ出かける際にでも預けて来るつもりです。御確かめ下さい。

 

 

 

 

4月22日・23日の天然砥石館

 

 

4月22・23日は、天然砥石館のリニューアルオープンでした。初日は市長・市議・代議士の方々を始め多数が御列席の上、記念式典が催されました。

 

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続いて、オブジェの序幕。

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館長・上野さんの解説の後、思い思いに観覧。

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地元の工芸家の作品の展示場所です。木の葉型の銘々皿の1つ(虫食い加工入り)が気に入り、購入しようかと考えています。

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代表的な三つのジャンルをイメージした展示。刀剣・大工道具・包丁に関連した内容。大工道具ブースはピンボケで掲載できず。

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うの和の御主人がモデルの包丁ブース。

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後で、到着した御本人にも確認頂けた様子。

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タマキさんには、原石から砥石を加工するメニューを楽しんで頂きました。

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完成した砥石で早速、試し研ぎ。家庭では持て余す長さの包丁も、無理なく研げた様子。

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高野さんには、武州合砥や上赤沢砥を御持ち頂きました。

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御自身での研ぎも熱心にされていましたが・・

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其の上、砥ぎ体験の方の包丁の手助けやアドバイス等でも御協力頂き、感謝致します。

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須賀さんには、今回も鰹節削り等で御世話に成りました。土佐の鰹大工の削る本枯れ節は、相変わらず一味違う絶品の仕上がり。

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更に、御持ちの難しい鉋刃も研がせて頂き、勉強になったばかりで無く、帰り際には武州合砥を一つ分けて下さいました。子供を相手の鰹節削りで見せる横顔や、材を削る場面の雰囲気など、全方位的に男前でした。最後の片付けまでお手伝い頂き、合わせて有難う御座いました。

 

他にも、遠路御参加頂いた方、差し入れを頂いた方等、御来場の皆様に感謝申し上げます。訪れた方の期待に応える内容になる様に微力を尽くしたいと思います。

 

 

 

オープン間近の天然砥石館

 

17日の月曜は、天然砥石館の展示品(高級砥石展示室の)を手入れをしていました。主に砥面の面直し(つらなおし)。

形状的な部分も在りますが、主として後付けの表示を色々と研ぎ落す役目でした。自前の電着ダイヤ二枚を持参です。

 

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此処がその高級砥石用の部屋。傾向として、大きく重い物が多いので大変です。私は基本的に、砥石の方を持って動かすので。

 

 

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奥の大きな展示室。海外の砥石達も結構有ります。

 

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その横には、天然の中砥。希少な産地の物も。

 

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御試し用の研ぎ台も準備中。

 

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鰹節の削りや味見も可能に。

 

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三つのジャンル別展示台の一つ。

 

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採掘の状況を再現した部分も豊富に。

 

四月22日・23日のオープンに向けて、20日には関係者やマスコミを招いてのプレがありますが、滞り無く終えられればと思います。しかし反面、問題点の洗い出しの為には要一波乱かも。

 

 

あ、ホームページも間に合った様です。本当は相当早めに完成をと望んでいたのですが。内容は此れから追々、充実して行くと思われます。しかしHP本体は、リニューアルが容易では無いでしょうから、時事ネタとして折々の画像のアップと館長・上野さんのブログ辺りが更新の中心と成りそうです。

 

 

 

幾つかの御知らせ

 

週末辺りに、予定通り新潟へ出かけてきます。日野浦さんの御厚意で再度、鍛冶体験をさせて頂くのですが今回は合わせ(二枚合わせの鍛接)でなく、小さいながらも割り込み(二つ折りの間に挟む鍛接)をやってみる予定です。

前回もそうでしたが、失敗しても難易度の程が知れるので利器材で無く鍛接を、と無理を聞いて貰えました。勿論、使えるレベルの物が出来れば尚良しですが。そういう訳で、この先の三日間くらいは電話やメールには対応出来ませんので御注意下さい。尤も、元々電話は殆ど出ていないので変わりませんね。

事前準備と並行して、あと二つの研ぎも仕上がりました。一つは砥取家にて、初めての研ぎ講習を受けて頂いた九州の方が御依頼を下さった味方屋作三徳への研ぎ。包丁購入時に合わせて初期研ぎも、との事でした。本日発送致しますので、到着までもう少々お待ち下さい。

 

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シャプトンの1000番の後、丸尾山巣板・千枚・東の巣板で刃先のやや鋭角気味の状態から、永切れ重視・抜けの改善を狙って角度と変化を調整しました。

 

 

 

もう一つは、私がお世話になっている方へ御礼を兼ねた研ぎでした。以前、一度(二度かも?)砥いでいた物ですが、暫く研がずに経過したので研ぎ直し。主にてっさを引く用途で御使用です。

 

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地・刃ともに丸尾山巣板・八枚・千枚・東の巣板で仕上げ、裏押しは鏡面青砥で仕上げました。此方は本日、お届けに上がります。

 

 

 

最後に亀岡の天然砥石館について、情報を得ました。一応、現在の予定ではと御断りが要るかも知れませんが、四月の13・14日にプレスデイ。22日にオープンとなるそうです。もうこれ以上、予定がふらふらしないでくれると有難いですね。内装の追い込み、頑張って頂ければと思います。

 

 

 

気になっていた買い物

 

先月あたりから、琺瑯のやかんの傷みが激しくなっていました。外観は、底の一部(琺瑯と塗装)が剥離している程度に対して内面は酷い錆に。

恐らく、幾度かの空焚きで負担を掛けた所へ持って来て備長炭を常時入れっぱなしだったのが良くなかったのでしょう。去年までの十数年(或いはもっと)、よく耐えてくれたと思います。

そこで、新たな品をと考えてみましたが、一つは珈琲のドリップに使えて(備長炭搭載でも)錆びない物。もう一つは水(茶)の味が良くなるとも言われる鉄瓶にしました。

 

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鉄瓶の方は、一般に沸かした水に鉄分が溶け込み①水が円やかになる②茶が円やかになる③茶(特に紅茶)が薄くなる(特に色・苦味)と聞き及んでいました。他には珈琲の色は濃い目とか、沸かした湯を煮物に使うと旨いとか。糠(糠漬け)に古釘から考えるに、植物の色素を良く安定・発色させる効果も有りそうですね。

此のメーカーの製品は、錆止めに使う漆の味が付くのを防ぐ為、内側には使わなくなっているそうで、やや錆が出易いのかも知れません。そういう意味では未だ内側の肌が安定していませんが、現状では白湯・日本茶・紅茶・珈琲の何れでも、大きな悪影響は感じません。

確かに苦みや渋みは幾分少なく感じます。私は一度に多めに淹れて小分けしつつ飲むので、後々往々にして渋くなり湯で割る事になりますが、その分量が少なくて済みます。その割には、初期の味や香り・水色の変化は軽微です。強いて言えば、鉄の風味が味の幅を広げている感覚でしょうか。

これは、包丁でも言える変化かも知れません。炭素鋼の刃で切られた食材は、味や香りが強く・或いは重層的に感じる一方、食材(特に生魚・酸の強い青果物)によっては鉄(錆)の味が付いたりします。様々な場面で、鉄/ステンレスの葛藤が付いて回るのも面白い物です。

 

 

 

 

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あと、以前から洋包丁に使われるエボニーやローズウッド等のハンドルで、やや経年変化の強い物に対して多少なりとも保護する表面処理は出来ないかと探していました。ナイフも可能性は有りますが、明らかに料理に使われる包丁の柄が対象ですから、安全性が重要です。

そこで見つけたのが次の二種で、一つはビンテージワックスのクリアー。荏胡麻が主原料で安全性が高いですが、此れを下地にして更に殆ど無害なもう一つの製品である蜜蝋を上塗りするのが良いと考えました。後者は実際、箸などにも使用可能との事で安心して使え、手持ちの箸やペティのハンドルで試しても良い印象です。

 

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画像は関で働いていた際、自宅に持ち帰ったカウリX(主としてダマスカス)の仕上げ前の物を耐水ペーパーで磨く時に使っていたのですが、此の度、和剃刀の梳き直しに使うかもと引っ張り出して磨いてみました。水分や汚れを吸収しにくくなってくれたと思います。