カテゴリー別アーカイブ: 砥石の選別

剃刀用の砥石の御依頼・その他

 

少し前に、剃刀に使える砥石の御依頼が有りました。当然、硬くて細かい物が前提と成りますので、其れを踏まえて選別に。

 

 

中山の赤ピン、硬口~超硬口。模様に反して、かなり均一な研ぎ感と鏡面的な仕上がり。

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中山の水浅葱、硬口で水間府の産との事ですが、少し奥殿の泡立ちに似た感触で研げます。

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同じくです。

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長四郎(長四郎挽きでは無く長四郎山)の硬口。研磨力と平面維持に優れながら、仕上がりも細かいですね。

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何とか、奥殿の本巣板天井で仕上がった此方の刃物の御依頼主との遣り取りに際して、ラインでとの意向を受けて久々に公開して繋げようとしたのですが、何故か失敗で。結局はSMSでと成りました(笑)。画像は送れず仕舞いでしたので、現物を送付しての確認と成ったのですが、問題無かった様子で安心しました。

其れとは別に(しかし期を一にして)、去年にH様と訪れて御世話に成った店主の方からラインを通じて(此方は普通に友達申請が届きました)、最近の商品画像と共に見に来いとの御誘いが。

 

 

そこで、店舗に伺って相談すると、手頃な原石を提案してくれました。小振りなサイズで切り分けて貰い、前述の砥石達と共に御依頼主に選んで貰う候補の一群としてメールに画像を添付し、送信しました。

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後日、切り分けて貰った原石の残りは取って置くとの事でしたので、自分用と北海道のS様の分を購入したいと連絡し、再度の訪問と成りました。

目立つ筋は殆ど邪魔に成らず、砥粒も均一で細かい仕上がりです。硬さは超硬口と言っても良いレベル乍ら、圧力を掛けても地を引く事は有りませんでした。

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私の分ですが、他の部分を切り分ける際に切り込んだ跡が。自分で希望した切り分け方でしたし、まあ所謂コラテラルダメージという奴ですので。使う際に、わざわざ切り込みに突っ込む訳も無く普通に使えます。因みに、使い勝手は上画像の石より手応えは少し重いですが、仕上がりは切れ・永切れと共に優秀でした。

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下の二つは、S様の物と私の物を足して割った感触で研げますが、仕上がりの良さは殆ど変わりません。未だ砥面は浅葱色ばかりとは成って居ませんが、1mm~2mm減って来ると浅葱が大勢を占めるでしょう。使って見た所、問題無かったので(寧ろ既に高性能)このまま使うべきかと・・・貧乏性かも知れませんね。

特大のレーザー型とも言うべきサイズの物。

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変形ですが、マズマズのサイズですので、大抵の刃物を研ぐのに苦労はしないでしょう。

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最後に、切り落としでも此の仕上がりです。全く問題無いですね(笑)。

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御送りするに際しては、目安の表示もしておきましょうか。上の切り落とし画像と共に送信した所、喜ばれたので良かったです。

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赤ピンを幾つか選別

 

少し前に中山の赤ピンで、硬口や超硬口が狙える部分が見つかったのですが・・・昨日も其れを狙って選別をして来ました。

明確な御依頼は一つで、高雄のレーザー型(出来れば中山の戸前の黄板とか)。しかし赤ピンの層からは、風化の進み具合に応じて黄色・緑の系統も混じって出て来ます(流石に赤や朱色がメインとは成ります)。

そもそも所謂、赤ピンとは言っても荒くて脆い場合が多い他山で見られる層とは別の並びですので、その性能も一線を画し、戸前と隣接している為に性能も近しい物と成っており、戸前浅葱の硬口と遜色ないレベルの硬さを持つ物も産します。性格は(平滑・緻密・微細が特徴と成る)浅葱と反対と迄は行きませんが、やはり研磨力に優れる傾向が強いです。

砥粒の目の立ち方・積層の仕組み・模様からも分かる通り複雑な砥面の並びが影響するのだと思われますが、結果的に軟鉄の地金を斑無く仕上げるのに工夫を要したり、刃先の最終仕上げに方向性が関わったりするジャジャ馬的な側面を見せる場合も。見方を変えれば、刃先の処理に際して幾通りかの研ぎ方を試せるとも言えますが。癖の強い鋼材・個性的な熱処理を経た刃物の仕上げに苦慮した時の駆け込み寺にも成り得たり。

自分用も含めて、バリエーションが整って来ましたが・・・幾つか手持ちに有れば心強いタイプと言えますね(今回も自分用に小さいのを追加)。

 

 

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結構、大きくて厚い物。硬口~超硬口と言えますが、研ぎ易さを併せ持つ性質で扱いに困りません。ほぼ、原石成りの姿ですが、表層から行き成り面を付けても傷や難が有る場合が多いので、適切な部分で開かれています。

 

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以前に御伝えしていた通り、硬口の赤ピンに興味を御持ちの先方に送って見ても良さそうな石でしたので・・・つい持ち帰ってしまいました(笑)。

 

 

 

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此方がレーザー型。採掘されている現場でサイズ・質を見て選別後、挽いて面付けして貰いました。やや硬口~硬口ですが、減ると更に硬く成るかも知れません。御希望から外れて居れば、自分用にと思って居ます。

 

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此方は自分用、やや硬口の物です。上方・下方で風化の進み方が違うので、赤・緑・黄色系統の色調や硬さが異なり、面白い使い方が出来ます。

 

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現在は上画像の様な作業の途中でしたが、砥石の選別も御依頼頂いて居ましたので選別に出掛けた結果でした。少し、傷を消すのに工夫を要する鋼・熱処理と見え、最終仕上げに使う砥石に苦慮しているのですが・・・決して現実逃避では有りません(笑)。

 

 

 

 

 

出来た砥石と、更に周辺の砥石を採掘

 

直近の高雄行では、前回の原石が加工されたのを持ち帰るつもりだったのですが・・・更に周辺の砥石を採掘もしました。

宗五郎や五千両、天砥という名前も聞いたかどうか?見聞きしていても実際に(間違いの無い)現物を見た事が有る方も少ないと思われる場所へも赴きました。其処の画像は前回の物と重複する所が大ですので割愛します(本当は余裕が無く改めて撮っていませんでした。中腹まで一輪車を押しながら上がりましたし(笑))。

 

 

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五千両の天井、砥面は中硬~やや硬口の物ですが当たりのソフトさと泥の出方で、若干は軟口の感触に。

 

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明るい曇り方ですが、刃金の仕上がりは中々です。柔らか過ぎず、食い付きも良いのですが手応えは重めですね。

 

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同じく五千両の天井ですが、此方は明らかに軟口で傷消しに向いています。加えて、軟質系独特の研磨力を期待出来る質でも有ります。

 

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もっと曇るかと思われる感触でしたが、結構な仕上がり。

 

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同じく、五千両の天井ですが・・・此の三つの中では最も(天井巣板感溢れる?)内曇りっぽい外観です。

 

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研ぎ感も少し違って滑走も向上、仕上がりは僅かに明るめ。

 

 

 

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前回の奥殿の天井巣板、超硬口を狙って来た内の一つが、小さいながらも何とか物に成ってくれました。此れで、やっと北海道のS様に届けられるので肩の荷が下りた気持ちです(笑)。

 

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硬過ぎと言うべきレベル・少し不定形・食い付きも強め、と扱い易い砥石で無いのは相変わらずですが、使い方を合わせられれば画像程度には仕上がります。只、平面管理は些か面倒ですので、余り一気に研ぎ続けない事が肝要でしょう。

 

 

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其れ以外は、強度不足で小さく成ったりしたそうですが、質的な問題が無い此れ等は、普段から御世話に成って居る方々への御礼も兼ねて、サンプルとして送ろうかと思います。まあ、そうそう行く事は無いであろう奥殿の頂上付近で採掘して来た記念品みたいな物ですね(笑)。

 

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更に質的に悪い所だから、面を付けるのも嫌だったと放置されていた部分。確かに各種の筋が有り、質的にも可成り荒い状態が見られましたが・・・可哀想なので持ち帰り、層を剥がす様に鏨でカチ割って、改めて面を付けると何とか使える質の砥面に。

 

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普段使いの洋式刃物のタッチアップ程度には使えるかと考えましたが、切り出し位なら問題が無さそうです。

 

 

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あと、今回は結構な硬口~超硬口の中山の赤ピンを期待出来る箇所も見る事が出来ました。サンプルとして、数個を購入したのが此の二つです。因みに、上の台形の方が中硬~硬口。下の平行四辺形が硬口~超硬口です(ハンマーで叩くとキンキン鳴る)。

外観通り、模様に向きが有りますので其れに逆らう方向と、なぞる方向では研ぎ感が異なります。未だ詳しく試してはいませんがもしかすると、鋼材由来の刃先の状態を研ぎ分けられる可能性も有りそうですね。研ぎ目を消す・残すと言うよりは、鋼材の表面処理の程度が浅いか深いかの違いが出る方向で。

兎も角、赤に黄色・緑が混じった此の手の砥石(硬口)は、特有の研ぎ感ですね。優等生的な砥石とは又、違った使い道も有りそうで面白い存在だと感じました。

 

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上画像の二つも譲って貰いましたが・・・北海道のS様は普段、私の選別砥石を使って御仲間に布教活動をして頂いて居ますので、それらの消耗を抑える意味も込めて、試し研ぎ大会用に硬口・軟口の赤ピン層のサンプルとして送りたいと思います。

 

 

 

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此方は奥殿の天井巣板、中硬~硬口です。本来は、数ミリ下まで減ってから安定した性能を発揮しそうなのですが。

 

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現状からでも問題無く使えそうですので、大丈夫でしょう。注文を頂いて居た砥石として、適して居ればと思います。

 

 

 

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此方も、同系統ですが近隣の産かと思われます。上の物よりも幾分は当たりがソフトですが此方も、数ミリ下からが本番な感じです。墨流し・蓮華混じりの外観も趣を異にしますね。

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注文を頂いて居た砥石で、奥殿の本巣板天井です。予定していたよりも幾分、大きかったかも知れませんので、次回以降の原石を切って貰えるかどうかに賭ける可能性も有りそうです(笑)。

 

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赤ピンの硬口です。模様の入り方から分かる通り、若干じゃじゃ馬な印象を受けるかも知れません。其処まで気に成らない人も多そうですが。研ぎ感は、可成り確りしていて研磨力も高いです。

 

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黒蓮華ですが、羽二重っぽい方向でしょうか。扱い易く、仕上がりも良い砥石で高性能です。

 

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上の石とは方向性が違いますが、通常の黒蓮華としてはマズマズですね。部分的に、層の境界が出ていますが(平面の刃物は特に)余り問題には成らない感じです。

 

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奥殿の浅葱、泡立ち系統です。扱い易くて高性能な浅葱で、硬さが邪魔に成らない感触で研げます。

 

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次の高雄行きでは、前回に落とした原石が(今回下ろして)切られていると思われますので、千枚的な質なのかどうか、楽しみでは有ります。又、今回下ろした天砥の質も(パサッとしていて手応えが軽そう)確認したいので、少量でも入手出来ればと期待しています。

 

 

 

 

 

奥殿の山頂付近で採掘

 

昨日は、高雄で採掘でした。最初は、個人的にブラっと出掛けて愉しみ半分程度のつもりでしたが、蓋を開ければ可成りハードな内容に(笑)。奥殿の山頂を目指して登攀、其処を超えての菖蒲方面での合流を経て、周辺までも案内して頂きました。

 

 

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此処が奥殿の山頂手前です。硬口の天井巣板と、超硬口の物も狙って見ました。

 

 

 

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山頂に出て、少し移動した辺り。

 

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此方は、大突の天辺辺りから菖蒲を見下ろした景観です。

 

他にも幾つか、採掘跡を見て回りました。

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少し、石を割って見て観察も。

 

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そして合流場所に戻って菖蒲寄りと云うか、宗五郎・長四郎にも程近い箇所で。下画像の、坑道付近でも採掘を。雰囲気だけでもと、中途半端ですが動画も撮って見ました。

 

研ぎ屋むらかみ 採掘途中、其の1

研ぎ屋むらかみ 採掘途中、其の2

研ぎ屋むらかみ 採掘途中、其の3

 

 

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入り口の頭上、一段目を落として採れた大きな原石。

 

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その一段階目を割って見た所です。

 

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しかし、落とした後の面に良さそうな部分が顔を出して居ましたので、其方も落とす事に。序でに隣の、より大きな部分も落とす事に成ってしまいましたが(笑)。

 

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其れを落とした後。二段目の原石です。千枚と天井巣板の混ざった様にも見えたので、御依頼を受けた内容に適うのではと。

 

 

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坑道の最深部には、綺麗な水が溜まって居り、ちょっとした地底湖の風情です。

 

 

最後の最後は奥殿の天井巣板狙いでもう一度、採掘を行ないました。全ての石は、高雄の加工場に置いて貰って居ますので、性能などの確認は一週間後の予定と成ります。不安も有りますが楽しみでも有りますね。

 

 

 

 

 

自分用の判子を受け取って来ました

 

以前に、チラッと記載していました判子が出来ましたので、受け取って来ました。此れで私が選別した砥石には、判別可能な印が付けられます。

只、産地や銘柄に関しては、最低限にしています。奥殿の巣板と中山の赤ピンは、自分が僅かながらも採掘を体験させて貰った事が有る関係上、幾らかは拘りと云うか親近感が有りますので作って見ました。まあ赤ピンは一目瞭然ですので、中山だけにしましたが(笑)。あと、舞鶴まで出掛けて選別した際には、必要であれば尚さんが押してくれるでしょうし。

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此方は、店の方の先生に当たるのでしたか、書道家の方が作られたフォントだそうです。今回は、平仮名だけの判子も作って貰ったのですが、私の自筆の文字に近い印象の物をフォントから選んで貰いました。

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下画像が、その平仮名を基にした判子(サイズ小さめ用)と以前からの判子を作り直した物。選別会の判子は、そう言った御見立会を提案してくれた方の意見を受けての物です。実現出来れば楽しそうですね。

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(因みにですが・・・私がサンプルとしてプレゼントした切り落としを試し彫り?に使った処、滅多に無い程の切れと永切れを発揮し、クッキリとした写り方だったそうです。お仲間にも確認して貰うと、輪廓に差が有るとの事だったと。やはり角が立つのは、刺身だけでは無かった事が証明されましたね(笑)。)

 

 

 

試しに、手持ちの仕事用(小振りな物)に押してみました。

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上の様な砥石の場合は、判を押せる部分が限られますので困りますね。一応、黒の上に黒色でも見えない事は無い様ですが・・・(側面右側)

 

 

 

今後は、御依頼を頂いて選別して来た砥石に付いては、この様に判子を押す事にしたいと思って居ます。これ等の物は態々、私に砥石を御依頼下さる方々への感謝を込めての物でしたが、質に関しての表記(αβΘ12345)が研ぎ工程や砥石の選択に役立ちましたら幸甚です。更に、もしも満足感や楽しさまで感じて頂けるとすれば望外の幸せです。

 

 

 

 

追記ですが、2~3週間後には二度ほど、高雄に出掛ける予定です。先ず一つには、御依頼を頂いている砥石の選別が有ります。もう一つは、奥殿の山へ上がらせて欲しい旨を伝えて有りました。入山料を払ってでも、久し振りに奥殿の山頂へ行って見たかったからです。やはり、私が高雄に関わる切っ掛けの石が奥殿の天井巣板で、採掘作業でも印象深かったのが大きいです。

ですので、半分は逍遥(とは急峻過ぎて言えませんが)と落穂拾い?みたいな気持ちですが・・・可能であれば幾つかは、其れなりの石を持って降りられればと考えて居ます。やはり自ら採って来た石を選別し、其れが高性能であったならば、仕事で使うかどうかは別としても嬉しい物ですね。あとは予てより、常連の方々の数名からは砥石山に行って見たいとの要望を聞いて居ましたので、其の下見を兼ねている側面も。勿論、様々な条件がクリアされてからに成るとは思いますが、案外?実現の可能性は高そうです。

 

 

 

 

 

一昨日、高雄で選別して来た砥石達

 

北海道のS様から御自身用と、北の洋包丁様の御二人分の砥石選別の御依頼を頂いて居ましたので、一昨日は高雄へ出掛けて来ました。S様からは、確りした硬さの白巣板と私の御薦め。洋包丁様からは、ザクザク下ろす巣板と私の手持ちの奥殿産巣板に近い物。(茶色系統?)

あとは一年くらい前から、自分用の蓮華入り白巣板(大平産でしたか)を取り置きしていましたので、其れを引き取る目的も有ったのですが・・・加工途中の砥石を薦めて貰ったり、偶然にも展示施設に置かれていた砥石群を集めた棚を探れた事で、自分用としても、より必要性の高い種類の砥石を入手できました。

特に、強く要望を出した奥殿産の天井巣板は、屋外で寒冷対策をされていた原石の中から大きなのを一つ、選んで切り分けて貰いました。以前にS様に御依頼頂いた結果、切って貰った物は硬口で質は良かったものの、些か構造に難が有る砥石でした。其れを踏まえた上で御買い上げ下さったのですが・・・いずれは問題点を払拭した、同種の砥石を御送りしたいと思い続けて来ました。私自身が天井巣板を中心として、未だ未だ奥殿の巣板を充実させたいとの意向が有ったのも否定出来ませんが(笑)。

 

 

 

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先ずは、北の洋包丁様への一つ目。奥殿から菖蒲に掛けての、天井巣板との事です。柔らか目なので、平面を崩さずに(部分的に集中して研がずに)使えば、研磨力を発揮します。泥も良く出るので、滑らかな砥ぎ感と刃物への当たりが特徴で、和包丁の切り刃ごと当てるのに適しています。

只、質としては黒蓮華(羽二重っぽい?)であるので炭素鋼は勿論、ステンレスや特殊鋼にも不足の無い研磨を見せてくれますが・・・炭素鋼に対しては幾分、錆や変色に留意する必要が有るかも知れません。しかしステンレス・特殊鋼では其の懸念も少ないでしょう。

 

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裏を見ると、カラス模様も確認出来ます。カラスが有ると、何らかの特性を見せるのかは未だハッキリしませんが、少なくとも此の手のカラスが悪影響を及ぼす事は無かった筈です。

 

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何時もの切り出しで試し研ぎです。刃金は、やや仕上がりの緻密さは控え目ながら速く下ろし、地金の仕上がりは曇り~薄曇り。

 

 

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同じく二本目。此方は、奥殿のスタンダードな巣板とも言える、白と茶色の混じった物。しかし硬さは、上から数えた方が早い程度には硬口です。或る意味、上の柔らか目の巣板と同様に、此の硬さの巣板も扱いには若干の技術を要するかも知れませんね。

そして、後述しますが双方の砥石とも、硬さに於いては大幅な違いを見せながら、砥粒の種類としては結構な尖り方をしています。御蔭で、鋼に対してもシャリシャリと(少しオーバーに言っています)下ろす方向性です。

 

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裏は、皮の元々の様子が分かる状態です。

 

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研ぎ上がりは、刃金が鏡面~半鏡面。地金も半鏡面~薄曇り(明かる目)。硬くて緻密な砥面が、遺憾なく効果を発揮してくれています。

 

 

 

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北海道のS様への一つ目、奥殿天井巣板です。超硬口~硬口とまでは行かないのですが、可成り質が良く、難が少ない物。しかし先々・・・数ミリ減らすと、もう少し硬くなってくる可能性が有りそうです。勿論、硬さに加えて緻密さも向上するでしょう。此れは私が選んだ方の天井が、減らして行くに従って墨流し模様・紫色が増しつつ、硬さと緻密さが向上した経緯が有るからです。(私は少し難が有る方を選択したのですが、未だ其の荒れた部分は消えていません)

 

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裏は、天井巣板に良く見られる景色です。

 

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研ぎ上がりは、刃金が半鏡面で地金は薄曇り(反射は強め)です。今の段階では、刃物への当たりはソフトで適度な抵抗と共に強く下ろします。天井に特有の弾力を持ち、硬さに比して砥面の変形(研ぎ減り)は控え目です。

 

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上の天井を切り分けて貰った際、切り落とされた端っこです。共名倉として丁度、使えますね。

 

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只、表層の皮と接しているカネの筋、その下にも走る純然たるカネの筋が邪魔です。しかし、下手に剥がそうとすれば割れてしまうので、広く叩き落とした上でダイヤにて丸く削り、擦り合わせても当たり難く整形しました。薄茶色の筋は、問題無いです。

 

 

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そして、予てより御本人の希望であった白巣板の硬口。手頃なのを探して居る内に見つけたのが、小振り乍ら蓮華入りの物。勿論、結構な硬口です。

 

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裏は若干、平坦で無い部分も有りますが・・・。

 

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研ぎ上がりは、刃金が半鏡面で地金も薄曇りから半鏡面(反射強め)。

 

 

 

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私用にも、天井巣板です。S様に選んだ物よりも少し、柔らかいかなと云うのと、筋の辺りに二か所の難点(ひび割れ・荒れ)が有った為、此方に決定。

試しに使ったり面を整えたりして減る程に、硬さ・緻密さは増して墨流し模様と紫色も強く出て来ました。此のままでも広範囲に使用出来て便利ですが、もう少し硬くなると、更に上の切れへの期待も。

 

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裏は、普通の天井の色と柄です。

 

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研ぎ上がりは、S様の天井に準ずるもの。

 

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此方にも、切り落とした部分は有り・・・

 

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こんな感じで、厚さも面積も有るので、小型のナイフ等には充分、研ぎに使えそうですね。

 

 

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北の洋包丁様に選んだ黒蓮華(羽二重っぽい)を3~4段階、硬くしたような質です。同じく、幾分は砥粒の目も立っており研磨力は充分。その代り、傷や斑を出さずに砥ぎ上げるのは技術を要する傾向に有ります。

 

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裏は奥殿の巣板(白色)に、よく見られる景色です。

 

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研ぎ上がりは刃金が薄曇り~半鏡面で、地金も薄曇り~半鏡面近くに。

 

 

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上画像は、一枚の原石を開いて二枚にした物。

 

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開いた二枚の状態です。

 

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メインの方、奥殿の巣板、茶色です。混じりっ気の無い物は案外、少数派の様ですね。中硬~硬口ですが、砥粒の目が立ち気味ですので食い付きが良く、中庸の硬さと相俟って研磨力は相当な物です。

 

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裏は、奥殿の巣板の茶色に良く見られるものです。

 

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研ぎ上がりは、刃金・地金ともに薄曇り(明るめ)。やはり、硬さと質に則った仕上がりです。柔らか目や、研磨力重視(砥粒の目が立っている)の砥石には良くある傾向。稀に、硬さからは想像以上に鏡面方向の仕上がりを見せる砥石も有りますが。

 

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開いた薄い方も試しましたが、何故か更に明るめの様な?。反射率も高そうです。流石に天然には、嬉しい誤算?も付き物で(笑)。

 

 

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中山の赤ピン系統の物。本焼き用として予定していた、大平産の蓮華巣板の代わりに選んだ砥石です。かなり柔らか目で、広い面を一遍に当てたり傷を消したりする場面で、重宝しそうです。

 

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裏は、平面部分が多くて安定しそうですね。

 

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研ぎ上がりは、此方も硬さと質に応じた物。砥粒の目が余り立っていないので、曇りがち乍らも傷が浅い仕上がり。

 

 

 

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此方は現在、判子を作って貰う事に成って居る店へのプレゼントに、高雄で貰って来た切り落としです。既に、長四郎と赤ピンの切り落とし(薄くて小さい)を渡して来たのですが、再度訪問の際に追加でと。

女将さんと若女将?の御二人とも、篆刻刀や彫刻刀で仕事をされるのは当然の事ながら、其れを研ぐ仕上げ砥は天然砥石。20~30年前に業者が販売に来た時に購入したそうで、拝見した所では硬口の東物。今と成っては中々、同等の物は入手が困難とか。

若女将の方は、何やら大会にも出場するガチ勢らしいので・・・研ぎの気分転換や、御気に入りの前の下研ぎにして頂ければと。他にも、彫る対象の材質に依っては、予想以上に有効かも知れませんので。

 

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厚みが有りましたので、中央に鏨を入れて真っ二つに。綺麗に割れて呉れました。

 

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双方、裏に成る面を整えてから向かい合っていた面を砥面にしました。何れも中硬~硬口の奥殿の巣板、茶色の様です。

 

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筋などを避ける必要が有るので、篆刻刀・彫刻刀には問題が無かろうと予想しましたが・・・切り出しも行けましたね(笑)。

 

 

 

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最後は何時も通り、若狭(田村山)の切り落としで仕上げて置きます。

 

 

 

後述すると記載した、砥石の質に関する内容です。特に御依頼を頂いた物と云う事に成りそうですが、私の選別した砥石に押す判子に付いてです。

基本的に、「村上好み」の性質の中で高性能な物を提示する方向ですので、飽くまでも最高級かどうかは保証しません(笑)。と云うか、如何なる刃物を如何様に研ぐか・如何なる研ぎ手が研ぐのかを想定できないので、不確定要素が多過ぎて無理でしょう。

同じ理由で、私の判子を押された砥石群の中での優劣も、普通は付く事が有りません。此れは、「砥粒が微細で均質・砥粒の凝集性が緻密である・砥粒の目の立ち方が適切」と云う基本性能での事です。筋や層の境界などの難が有る要素では、ピンキリでしょうけど当該箇所を避けて使える人には、致命的な欠陥と迄は行かないと思います。当たらなければ、どうと云う事は無いですから。

従って、松竹梅とか一級・特級の区分けや上・最上等のランクは付けません。代わりと言っては何ですが、使い手が参考に成る区分を付けようかと。私が砥石を区別しているのは上記の砥粒の三要素を踏まえて、大まかなジャンルは三つです。手触りで言えば、サラサラ・スベスベ・キシキシと成ります。とは言う物の、硬口に成る程に普通は、ツルツルとしか感じられなくなって行きますけど(笑)。

予定としては、硬さに加えた其のジャンル分けが表記出来ればと考えています。ジャンルをABC,硬さを12345段階で分けると、A3とかに成って和牛のサシの入り方みたいですので、α、β、Θ辺りが良いかも知れませんね。因みに、今回の選別で入手して来た砥石に表示するなら、以下の様になります。

 

北の洋包丁様の一本目(天上巣板):Θ 2

同じく二本目(奥殿巣板白茶色):Θ 5

S様の一本目(奥殿天上巣板):α 3

同じく二本目(奥殿巣板白色):α 5

自分用(奥殿黒蓮華):Θ 5

同じく(中山赤ピン):β 2

同じく(奥殿巣板茶色):Θ 3

 

と成ります。因みに、一般人が使いこなせないレベルの硬さは含まないので、6~は想定していません。あと、妙に弾力が有ったり、ダイヤに掛かり難い質の物も硬いと感じられますが、要素が複雑に成り過ぎるので、切り出しを当てた感触でと割り切っています。

 

 

 

 

 

最近、考えた事

 

先日、鹿肉を御送り頂いた北海道のS様とは、研ぎ依頼・刃物自体の御依頼に関しても、遣り取りをする事が有ります。寧ろ、其方をメインとして数年来、主としてFacebookのMessengerを通じて行なって来ました。

数日に渡った今回も、内容に含まれていたのは(定番の話題でも有ります)、砥石に印を付けろと云う物。つまり好い加減、私が選別して来た砥石が判別可能な様に、判子か何かを押したらどうかと。此れは、其れこそ数年前から複数名に言われ続けて来た事です。しかし、簡単に首肯する気持ちには成れずに来ました。

理由は幾つかあるのですが・・・例えば刃物で言えば製造者(砥石の場合は採掘・加工と成りますね)こそが銘を入れる権利が有るとの意識が強かったからです。刀剣での例示は汎用性に欠けるかも知れませんが、それらには通常、鍛冶屋が中子に銘切をするだけでしょう。刀身(刃体)に他の誰か・何者かの影がチラつく事は稀です。ですので、基本的に(日野浦さんにも以前、言ってしまいましたが)刃物の表面には錆・汚れ・強度低下に繋がり得る、如何なる印章の刻印や銘切も無いのが理想だとの思いも有ります。

勿論、大昔の地域密着の無名の作では無いのだから、近現代の製品に其れを求めるのは無理な事も理解はしていますが(中子だけに銘を入れたら確認できない物も多いですから)・・・其れも有って、自分のブランドの包丁をプロデュースしたらどうか?との提案にも乗り気に成れませんでした。幾ら、己のアイデアや知見からの新機軸と成り得る要素が盛り込まれていたとしても。(日野浦さんには、昨今の災害への対応を主眼とした鉈への言及はしてみたりしましたが。)

砥石に話を戻すと、誰が選別したかを明らかにした印としては、浅野さんでしたか、白名倉に検と押された方がいらっしゃった様ですね。斯界の御大であるのでしょうか、信用や安心を求めて其処に拘って入手されているやに御見受けしています。翻って、私は只の砥石好き(ヘビーユーザーとは言えるでしょうが)が高じて、砥石遍歴の一環としての産地詣でや採掘・加工の体験も重ねて来たに過ぎません。その程度である自分が、印を入れる根拠や正当性に確証が持てない部分は少なからず有りました。

実際、私用に判子を作ってやろうと言って頂いた事も有ったのですが、上記の理由で一歩、踏み出せなかったのですが・・・之まで砥石の選別依頼を頂いて来たS様、更にS様を通じて沢山の砥石を御送りした結果、得られた評価を鑑みて(その他にも御満足頂いて来た方々を含め)考えを変える正当性を得られたとの手応えを感じました。加えて従来、知己を得た天然砥石の採掘をしている方々からは、仕上げ砥の選別に付いての目利きで否やは無かった事も挙げられます。

 

此処で最初に戻るのですが、S様から判子を急かされた流れで苦し紛れに、或る物を思い出して画像を送って見ました。意外と?高評価で、もう此れで良いのではと感じた位だったのが、仕事として研ぎを始めた頃に作って貰った社判みたいな物と認めみたいな物。後に実印にする為の判子も作って貰った店で仕立てた、領収書などに押して来た奴です。丁度、余り稼働していない事も有って?好都合かも知れません(笑)。

しかし、詳しく無いので判断は店側に確認してみるつもりですが、(砥石への捺印?に際して)此の形状や書体に問題が有る様ならば当該の物に準じた方向で新規に頼まないと行けないかも知れません。結局、作る事に落ち着く可能性も有りますが、今は心理的な負担が過去とは歴然と違います。偏に、S様はじめ過去に砥石選別に関して御評価下さった方々の存在、其の延長で私の選別に特別な意味を見出して頂けた方々からの率直な気持ちを届けて頂けた事で決心が付きました。之までの皆様に感謝致します。

 

 

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あ、此れでは無くて、同時に作って貰った下の奴です。(因みに、ホームページにも記載したかも知れませんが、殆んど電話には出られずに済みません。)

 

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普段は、黒で上の判子・朱肉で此方をセットで押していました。此れで行けるかどうかは不確定ですが、大丈夫で有れば有難いですね。新たに作ると又、出費が・・・(笑)。

此の先、選別の依頼を頂いて入手した砥石に付きましては、上記の様な仕儀から、妥当と思われるに至った判を押す事に出来ればと思いますので、宜しく御願い致します。必要無い方は予め御断りを頂くか、多分消せない事も無いでしょうから除去する方向の御好みで御願い出来ましたら幸いです。

状況にもよりますが・・・差し当って一番に適用されそうなのは近々、出掛けたいと思って居る高雄で探す予定の、S様からの御依頼品です。私の取り置き分も入手したい所ですが、もう少しばかり御待ち下さい。そして春には、T様にお譲りした自分用砥石の代替品を含めて幾つか、舞鶴へ探しに行きたい所でも有ります。

 

 

 

 

 

H様との砥石巡り(京都編)

 

昨日は、H様の御誘いで京都に出掛けて来ました。砥石館で落ち合った後、車に同乗させて貰い東へ。西本願寺の近所、先ずは一軒目の店舗前で降車、二人で天然砥石を見せて貰いました。

 

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大部分は上画像の様に、纏められていた中から選別させて頂きました。仕事の手が空いた時に、店内の整理を兼ねて天然を探して居たら、予想外の物まで出て来たとか。

他にも定寸・長尺も含めて見せて貰えましたが、主にコッパの中から4~5個を提案し、H様に判断を仰ぎました。私の分も、何となく探して居たのですが・・・最後の方で、陰に隠れていた小振りな石(しかも裏向け)を念の為ひっくり返して一撫でした所、ピンと来たので即決です。しかし無理したので他はに何も手が出ません(笑)。

 

 

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周囲には又、産地の異なる砥石群。昔は人気が有った、と言うより既に品薄と言うレベルを超えてしまっている砥石も。様々な層や色柄も揃って居て勉強に成りました。

 

 

 

もう一軒では、試し研ぎが出来るとの事で、H様は歴史を感じる大きな木の桶で切り出しを。

予算を聞いた上で店主自ら、加工仕立てだけれどと水浅葱を手渡してくれました。弾力は有りつつも、可成り硬口である其れを研ぎ始めたのですが・・・最初に砥面を撫でた人造の粒子と砥面の荒れ(鏡面系砥石には厳しかった粒度)で、困ってしまい。

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私が天然中砥で撫でたり、水で洗い流したり切り出しの傷を巣板で浅くしたりの御膳立て後、改めてバトンタッチ。或る程度は石の性質を把握できた様子にて、購入されました。

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今回、自分用に選んで来た砥石。大突の砥石は、過去に1~2度だけ触った事が或る程度で、手持ちには無かった物。イメージ的には、灰色・黒色の硬口~超硬口で、剃刀に向いている。

そんなイメージを体現しているかの様な、硬口砥石です。粒度も細かく、しかし砥粒の目は余り立っていないのが感触で分かります。

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裏は外郭の皮?を外した段階でしたが、まだ基盤の層が残っており、底面としては結構な不安定。帰宅後、安定するまで研ぎ減らして、側面と共に養生しました。

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切り出しにて試し研ぎ。刃・地共に鏡面で、明るさも最上クラスに仕上がります。おまけに研ぎ上げる際の難易度も低い部類。若干、食い付きが強いものの滑走が酷く悪いとまでは行きません。但し刃物の形状や研ぎ方で変化します。

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光の反射も一際、強いですね。

 

 

まだまだ形状を整えつつ、初期研削痕も薄れて行く途上の物ですが、包丁の刃金部分で試してみました。飽くまでも刃先メインで切り刃部分は余り、研ぎ込んでは居ないのですが、光り気味且つ鋭利な仕上がり。

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硬口(超硬口?)で粒度も細かい砥石ですので、以前の記事に記載しました刃先の縞々も六本前後、明瞭に観察できます。(艶のある黒々とした刃先、青色の背景との境目。此処で角度を鈍角にして行っています)

 

 

 

大突の砥石であれば似た性格・同等性能とは言えないとは思います。ですが今回の砥石は、期待に違わぬ性能を見せてくれました。ただ、万人向け(研ぎ手を選ばない)・万能性(刃物の形状・鋼材・硬さへの対応範囲広い)の見地からすると、若干ですが選り好みの要素も感じます。

有体に言えば、金属組織の大きな刃物には冷淡な反応。あと、平面のみならず曲面にも対応してくれるものの、刃先最先端の角度ミスに寛容では無い。後者に関しては、硬口の(特に弾力の少ない)パサッとした砥石に見受けられる傾向では有ります。

しかし、其れに引っかからない扱いをする事で、研ぎ上がりの見た目に反しない切れを齎してくれます。偶々ですが、もう直ぐ和剃刀の研ぎ依頼の予定も有りますので、結果的に其れを見越した福音と成ってくれればと期待しています。

 

 

 

 

 

最近の砥石と考えた事

 

少し前に、舞鶴まで砥石の選別に同行する機会が有ったのですが、期せずして最新の(しかもマニアックに拘り尽くした)人造砥石・その設計思想にも触れる機会と成りました。

勿論、自分でも性能に満足し、使い勝手を気に入って使って来た最重要視している砥石の出元でも有るので、並で無いのは想定の範囲内でしたが。現状は更に製作者の病状が悪化、いや向上心が青天井でした。

会話の内容の詳細は省きますが、最新の人造仕上げ砥石の到達したレベルと先々の可能性に端倪すべからざる物を感じました。普通に良いとされる天然砥石・或いは其の使い方では、瓦に伍する事が困難に成る未来が見えた・・・と言うか、既にそうなりつつあるのかも知れませんね。(一般の方々の意識では既に相当な過去から、そうなっていたのかも知れませんが・・・まあ段階は其々)

当然、私もコスメティックな目的と言うよりは、性能を求めて天然砥石の上物を求め・使用して来たので切れ(汎用性の高い掛かり)と永切れ(人造・ペーパー・荒砥に数倍する)での結果に納得するまでテストした上での天然仕上げ砥石の採用でした。

では、今回の舞鶴行きで宗旨替えをしたのか?と聞かれれば、NOです。少なくとも、今現在は天然の性能を凌駕する人造砥石を丁寧にテストするまでは保留です。もっと厳密に言えば、何処まで行っても性能差としてでは無く、飽くまでも違いとして現れるのでは無いかと感じました。

先に記した、性能の一端は切れ・・・一発勝負の最鋭利な性能が主。永切れは従・・・ですが、私は此れに拘っています。何故なら、道具であるからには使われている時間が本来であり、整備の時間は無駄、とは言いませんが短いに越した事は無い。おまけに、長く切れるなら研ぐ回数・時間も少なくて済み、減りや買い替えの心配も減る理屈です。

一発の切れは、之までも天然を凌ぐ場合を理解していました。例えば削ろう会などですね。しかし同時に、永切れでは天然に分があるとも。切れの性能維持は、人造が2~3回の使用で低下するのに対して、天然は4~5回の仕様に耐えると直に聞いた事が有ります。飽くまでも、性能が拮抗している上に、研ぎの上手が調整した事が前提でしょうが。

原因としては、天然の研磨成分では削れない成分が金属組織中に存在する事・した場合でも、人造であれば研磨が可能だから、と成ります。対して、研磨が困難な成分が削れない天然であれば、耐摩耗性の高い成分が多数、残存する・・・結果として研磨面は、より耐摩耗性が高い状態に成る。

今回は、その天然の売りとも言える永切れにも迫る可能性を示唆して貰った訳ですが・・・此処から先は、自分的には不確定要素(テスト前)があるので、保留。しかし、前述の内容が現実の物に成ったとしても(いや、疑ってはいませんが)、或る一点の疑問が残る為に、人造への完全な鞍替えは否定的かなと感じました。

 

 

さて、(前段は前振り?)本題にも関係する内容に触れて行きますが・・・例えば大工道具は案外、「バラツキ」(鋼材の種類・熱処理等々)が少ない分野かも知れませんが、包丁などは玉石混淆と言わざるを得ません。ナイフ等もそうですが、包丁に向いていない・刃物用として開発されていない各種金属も普通に使われています。尚且つ、使用者(消費者)の使用・メンテナンス技術や経済観念に応じて多種多様な仕様に仕立てて有ります。

従って、金属組織の特性や熱処理後の変化次第で研ぎ方・研ぐべき方向性(研ぎ目の細かさ・研ぎ目の形状・或いは極限までツルツル?)も違って来ますが、人造砥石の種類は其々の特徴を引き出すのに充分でしょうか、そうとは思えません。逆に考えると、少ない種類で全般に対応可能であるならば其れが最高かも知れませんが・・・私の経験では、研削力・研磨力に優れる人造は鋼種・熱処理の如何を問わず、一律に砥ぎ下ろしてくれる物が多かったです。

一律に仕上げてくれた上で結果として、組織の荒い・焼きの甘い刃物も、細かい組織・確り焼かれた刃物と同様に砥ぎ上げて呉れるならば万々歳なのですが・・特に鋭角に研がれた刃先では、ヤワな刃物の永切れは期待外れな事が大半。切れに関しては耐久力(硬さ・応力への抵抗)次第と成りますが、物理的に鋭角であれば切れますので、充分な効果を発揮してくれます。自慢の研磨力の面目躍如といった所ですね。

しかし、天然砥石であれば一律に永切れに優れるとも行かないのが難しい所です。まあ、滅多に優れない物は無いのですが(外れは別です)、其々の鋼材・熱処理・他には研ぎ手によって差が有ります。人造と違って(人造も思うよりは焼き加減などバラ付いてますが)合う・合わないが面倒と言える反面、相性が良ければ持てる個性を引き出す・スペック以上の結果を付与できる可能性も有ります。

例えば、荒い組織の刃物に硬くて細かいだけの砥石を掛けても、刃先に現れる組織由来の荒さを見かけ上、面取りするだけに終わるかも知れません。しかし、砥粒の積層の向き・緻密さ・成分により荒さを活かした結果になる可能性が有ります。例えば、荒いギザの一つ一つに、より細かいギザギザ・セレーション的な波を形成する等。

そう言った意味から、私は刃先の処理に天然を多用して来ましたが、其れと同等以上に重視して来たのが刃体の形状です。或る意味で刃先1mm(本当は0.数ミリ?)の切れが勝負と言えそうな剃刀や鉋に対し、ナイフや包丁が相手にするのは圧倒的な厚みを持つ対象物です。まして、繊維質・粘弾性をも持っている場合が大抵。それらを削る・切断するならば、切削の最中は刃体の側面を対象が接触しつつ移動して行く事に成ります。当然、表面の形状や粗度が抵抗に影響しますが、最も重視するべきは平面・凸面・凹面の違いでしょう。

尚さんとの遣り取りでも、包丁等に関しては刃先限定の切れもさる事乍ら、形状の重要性にも言及されていました。其の指摘は私の認識とも共通する部分が多く、流石に理解が多岐に及んで深いと感じました。其れを踏まえた現状での自分の研ぎは、いつも記載している通りで刃元~切っ先にかけて、鈍角から鋭角への変化。切り刃・小刃は刃先へ向かって徐々に鋭角に・最先端へ向かう最終部分は徐々に鈍角に・・・です。

あと、仕上げ砥石が荒砥・中砥よりも鋭利で永切れするのは、刃先の仕立てが最小(先端のRが小さい)で最大(ギザの山が小さくて多い)になる事。前者は横方向の幅が狭い・後者は刃線上の面積が大きい事を意味します。此の逆では鋭利で無く、角度が同一なら摩耗も速くなりますね。接地する部分が少ないと、削れ易いですから。

あ、万が一あらゆる項目で天然を超える人造が先々に出て来たならば、天然砥石で無く人造砥石を主力に代える可能性は、ゼロでは有りません(笑)。

 

 

 

 

それでは、近い質の天然砥石でも仕上がりに違いがある具体例として、試し研ぎをしてみます。本当は、自作の切り出しに一部、錆が出始めていたので手入れを兼ねてです。あとは、天然砥石に興味をお持ちの方への参考に。

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左の二つは以前からの所持品。右は最近入手の物。何れも、奥殿産の巣板の茶色。硬さで言えば、上二つは同等で硬口。右下は僅かに柔らかく、左下は中硬。粒度は全て、細か目です。

 

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自作の切り出しを加えてテスト。此方の刃金は白紙二号を使って居ます。

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奥殿の天井巣板、軟口・やや荒目で準備。

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何時もの切り出しでも、準備です。此方の刃金は、青紙(恐らく二号)です。

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自作切り出し+新品の薄い巣板

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何時もの+新品の薄い巣板

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自作+新品の厚目巣板

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何時もの+新品の厚い巣板

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自作+厚い巣板

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何時もの+厚い巣板

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自作+中硬巣板

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何時もの+中硬巣板

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画像で見ても、余り顕著な違いは見出せないかも知れませんが、基本的に硬くなるに従って、曇り気味⇒光り気味になって行きます。そして、切れも其れに比例する傾向に有ります。例えば、押し引きしなくても押し付けるだけで切り進める・切る際の荷重が少なくて済む・・・と変化します。

しかし、再三記載している通り、必ずしもそうとは限りません。例えば今回でも、新品の厚目までは両方の切り出しで切れが向上して行きました。しかし、手持ちの厚目では僅かに差が出ました。いつもの切り出しが若干ですが劣ったのです。一方、自作切り出しは新品と殆ど遜色無し。砥石の研ぎ感・研磨の進み方は殆ど差異が無かったので、相性としか言えないと思います。

そして最後に試した中硬巣板では、逆の結果に。自作の切り出しは切れが低下。対して何時もの切り出しは余り低下せず。以上の差は、白と青の特性から来る違い(青はタングステン・クロム配合により耐摩耗性が高い)とも考えられますが、その割には最初の天井巣板での準備では、双方切れが落ちていました。従って、中硬で研いでも前段階の硬口での結果が残存していたとも考え難い。やはり、相性と捉えるべきかと思われます。

今回はベタ研ぎ・同質の砥石と云う、違いが出難い条件でのテストでしたが、恐らく曲面・曲線を含む刃物の場合は更に影響が出易い筈です。研いでいる際に砥石の食い付き・滑走の程度が刃先の仕上がりに変化を及ぼすと感じるからです。その証左として、曲面の刃物を平面研ぎと同等の仕上がりにする事の困難さは、やって見れば容易に理解出来るでしょう。

ですので、私は平面研ぎにのみ向いている質の砥石は、余り選んで来ませんでした。飽くまでも平面・曲面の両方に向いている砥石(軟・中硬・硬口を問わず)が重視ですが、曲面でも相当に砥ぎ易い砥石であれば、平面もこなせる確率が高かったりします。私に選別を御依頼下さった方々には、実感された方も多いのでは無いでしょうか。天然の雑多さ・複雑さは、慣れるまでは得体が知れない・取っ付き難いと感じる物ですが、扱い方が分かる程に価値を認識し、手放せなくなります。昔から、「刃物は貸しても砥石は貸すな」と言われてきた意味を、身を持って理解できると思います。

 

 

 

 

 

偶々の追加の砥石

 

二週間ほど前から一台目、一週間前から二台目のパソコンが不調に成っていました。一台目は(ベスパディーラーの方に)直して貰い、二台目は組んだ方に相談する為、高雄に出掛けました。

其れを知った方から、御薦めが有ればと要望も有り、面付けされるのを横で待ち構えつつ、現場にある中から二つを選別して持ち帰りました。

 

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何方も御買い得品でしたが奥殿の硬口巣板、茶色です。左は、マズマズの厚さと砥面の広さも有るのですが、濃い筋は研ぎ減ってしまう迄は邪魔になります。そして薄い右側は層の並びが斜向していますが、余り仕上がりに悪影響は大きく出ません。

 

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刃・地共に、かなり明るめに仕上がります。

 

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此方も上の砥石に準じる仕上がり。但し比較すると、研ぎ加減は食い付きが若干ですが強く、扱いに注意を要します。

 

 

 

 

他にも月山さんから、フォールディングナイフと合わせて砥石を送って貰ったのですが・・・以前に分けて貰った成の1000番の後継機種?の600番も到着しました。

 

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成の600番ですが1000番の研ぎ感とは、幾らか趣を異にしますが研磨力と平面維持に優れる特色は、同一路線を継承しているのを感じます。

 

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1000番は、最近の人造で最も気に入った砥ぎ感(とビトリファイドに引けを取らない?研磨力)で、且つ又、研削力に優れるビトリファイドでは地を引くタイプの鋼材に対処出来るのではと期待しています。

今回の600と合わせて、その方向で活躍してくれると最高ですが、其れとは別に600からの1000に繋ぐ研ぎはバランスが良く、一つの王道路線に成りそうです。

 

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序でに、尚さんの所で分けて貰った成の3000番(小さ目のサンプル)。砥いで見れば、仕上がりが綺麗で切れも良いとの説明にも頷けます。600・1000と比べてみると少し、確り感とは違う柔らかな受け止め方にシフトした印象かなと。

 

 

 

 

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最後に、何時も通りに研ぎ上げて置きます。中硬の巣板・合いさ・八枚の系統、切り落とし。

 

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奥殿の(超)硬口の巣板茶色・若狭の浅葱、切り落とし。