カテゴリー別アーカイブ: 研ぎ講習

今月の講習その他

 

今月も神戸からS様が受講に御出ででしたが、その際に(インスタにアップするとの)画像や動画を撮られました。私が試し切りする際の様子や幾つかの砥石がメインでしたが、素材の異なる刃物による食材カット後の風味の変化を実感する場面も含まれていました。

 

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先ずは、私が用意していたオーストラリア産モモ肉のタタキとステーキです。炭素鋼とステンレスのペティで切り分け、それぞれ塩胡椒と柚子醤油で味の確認。

私は味の中にエグ味と言うか苦味が混じるか否か、甘みと旨味の量で違いを感じましたが、この後でテストしたトマトや人参・パプリカとは違って差を感じるのは難しかった様です。ただ、パプリカが旨いと知って貰えたのは良かったです。

 

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其の後は、御持参頂いたフグを捌いて頂きました。

 

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此れに付いては、上記のペティ二種に加えて炭素鋼の片刃和包丁(イカ割き)を使用。同じ炭素鋼でも、形状の違いに因る風味の差は有るのかが焦点と成ります。

此処でも、炭素鋼:ステンレスの違いは明瞭に感じ取れた様子でしたが、ペティとイカ割き(両刃と片刃)の差は難しかったとの事。私としては、炭素鋼ペティでも十分に旨いのですがイカ割きでは更に雑味が除かれた味わいに感じました。

 

 

 

続いて、髪の毛の切断や紙の束の試し切りの画像・動画を撮影。SNSでアップされるとの事でした。

 

 

 

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勿論、出刃の研ぎと

 

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柳の研ぎを練習して頂き

 

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ほぼ、明らかな問題点は解消されて来ました。

 

 

 

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この二つは、予定通り御渡ししておきました。初見の人への天然砥石の紹介や、御自身での研究にも使えるかと。中山の緑っぽい戸前・奥殿の浅葱ですから、砥ぎ感や切れの効果の違いを体験できる筈です。

 

 

 

講習で研ぎの向上を目指すのみならず、刃物の素材と研ぎ方による食材の風味の変化を実験・切れ味の情報発信と、積極的な姿勢に感銘を受けました。之からも、協力しながら互いに切磋琢磨し、価値ある内容を発信して行ければと思います。此の度もS様には、色々と有難う御座いました。

 

 

 

フグの残りを頂いたので、鍋と雑炊にしました。久し振りでも有り、美味しく頂きました。

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日曜日の講習+追記

 

先日の日曜は、神戸から月一ペースで通って頂いて居るS様と講習でした。柳の方は、仕事上は困らない程度に切れを出せる様になって来ているそうですが、出刃は今一つとの事。

 

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二本の全体

 

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柳の刃部

 

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出刃の刃部

 

確かに、柳の方は切り刃形状としては基本的な型に倣って来ており、安定して砥げています。ただ、作業内容に耐久力が釣り合っていないので、切り刃角と刃先角のバランスを取る必要が有りますね。あと、落下による切っ先の欠けが。

出刃は、鎬近辺と刃線のライン共に改善傾向。ただ、刃先周辺の厚みが増しているのに加え、刃先角度に不安定さが見られます。頑丈では有るでしょうが、切れは悪く其の割りに永切れも期待し難い状態。逆に研ぎが効きすぎている部分も有り、其処は厚みが減じて毀れやすい問題も。

 

 

 

何時も通り、型直し的に私が人造各種で修正後、御本人にトレースする感じで砥いで貰います。適宜、チェックしつつ問題点と改善法を説明し、実践。を各工程で繰り返します。

 

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400番⇒緑1000で修正後、白1000で模倣して貰っている画像。

 

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形状が整って来たらキングハイパーで全体を均します。

其の後は天然で巣板で切り刃を整え、戸前で刃先と裏押しを仕上げて貰いました。チェック後、不足面は修正を入れて完了。

 

 

 

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研ぎ後の状態。二本共、先ずは殆どの欠けが無くなるまで砥ぎ落し、其処から適切な切り刃角・刃先角まで整えました。S様には、其れに必要な判断基準と調整する手順を身に付けて頂ければと思います。

柳の方は、「ベタに近い切り刃に糸引き」のマスターは時間の問題ですので、出刃でも追々、可能だと思われます。しかし叩いたりする使い方も考慮するならば、通常の糸引きを一律に。では間に合わない場面が出て来ます。

柳以上に刃先の角度選択・角度変化の付け方にも習熟する必要が有り、難易度は高く成りますが今年中には其の一端なりとも、体得される様に御指導出来ればと考えて居ります。それまで、S様には今後も宜しく御願い致します。

 

 

 

追記です

講習の時に御知らせ頂いた鮪の解体・即売の催しに、水曜は行って来ました。

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砥ぎ上げた包丁もキッチリ働いてくれたとの事で良かったです。

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上画像で切り分けて貰ったのが下の物です。80キロの本鮪だそうで、如何にもな色調が綺麗です。

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三日は持つと言われましたが、当日中に半分は食べてしまいました。之までに買って帰った中でも特別美味でした。赤身ながら、酸味は少なく微妙に脂も乗っており其れが程良いバランス。

寝かせれば又、変化もするのでしょうが此の状態も好みでした。明日に成り、どんな違いが出るかも楽しみです。楽しい御誘いに感謝致します。有難う御座いました。

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ゴールデンウイークの或る1日

 

本日は初めて、自宅に講習希望の方を招いて研ぎ指導を行いました。数日前から相談を頂いていましたが、急ですが昨日、是非にとの事で御受けしました。

当初砥石館で予定していた講習料は、自宅に御出で下さるならと半額での和包丁コースとなりました。御持参の包丁は、仕事場で御使用の柳と出刃。特に重要なのは、小さ目の魚ならば大名卸しから刺身まで担当する柳の方。

 

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包丁店からの購入後、形状崩したので件の店舗で研ぎ直して貰ったが使用に不満が残るとの事。御話しを伺い目的に合致するであろう研ぎの予想を立てつつも、現状の研ぎスキルを向上させる課題めいた指摘をさせて頂きました。

各段階の結果を確認し、一定の仕上がり毎に切れを確認。各々の違いと、其れに必要な操作・砥石の管理などにも理解を深めて頂けた事と思います。出刃の方は刃線のS字と欠けを少々、改善して刃先を鈍角目のハマグリにしておきましたので、実際の現場で御試用の上、次回の研ぎの参考に繋がれば幸いです。

来客を想定しておらず、散らかっているので急遽片付けに追われる破目に陥るのですが、今後も一ヶ月に一度くらいは頼みたいとの御要望ですので、出来るだけ御応えしたいと考えております。S様には、此の度は少し遠方から御越し頂き有難う御座いました。又、購入頂いた研承400と電着ダイヤで、作業が正確且つ速くなる事を願っております。

 

 

追伸

御帰りの際、最後にお出しした生麩餅を買った和菓子店に寄るとの御話しでしたが、家の前の坂を下らずに上がって行かれたので心配でした。少し追い掛けたものの、間に合わずでしたので次の日に確認に行って来ましたら其れらしき人が御出でだったとか。恐らく大丈夫だったのでしょう。

ダージリンのセカンドフラッシュと合わせて、可笑しな取り合わせに見えますが気に入って頂けた様で嬉しいです(客観的には、餡子にはヌワラエリヤが御薦めです)。何時もの癖で、又買って帰ってしまいました。私の一番のお気に入りの一つです。

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あと、偶然ですが本日講習直前に三条から包丁が到着しました。味方屋作三徳が三本。注文より多い様な気もしますし、ペティの方が無かった様な?出来れば砥石館の常連様には、匠ビレッジグランドオープン辺りに三徳とペティを届けたいのですが。

 

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三徳の方は先々、四国の常連様にも御予定頂いていたので丁度良かったかもです。柳と合わせてペティが届くのを心待ちにしたいと思います。砥石館の常連様には、今少し御待ち頂きます様に宜しく御願い致します。